日立製作所とオムロンは1月26日、ATM(現金自動預払機)などの情報機器事業を統合し、合弁会社を設立することで合意に達したと発表した。
新会社の設立と事業開始は2004年10月1日の予定。会社の設立は、2001年の改正商法施行に伴い設けられた会社分割制度を活用し、分社型共同新設分割によって行う。日立のユビキタスプラットフォームグループ情報機器事業部が担当しているATMなどの顧客操作自動機や窓口システムなどの全事業と、オムロンのソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネスカンパニーおよびアドバンスト・モジュール・ビジネスカンパニーが担当しているATMなどの顧客操作自動機の機器・モジュールソリューションを統合する。代表取締役会長は日立から、代表取締役社長&CEOはオムロンから就任する予定だ。
日立製作所執行役社長兼取締役の庄山悦彦氏(左)とオムロン代表取締役社長の作田久男氏 | |
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新会社は、現金・カード・通帳・帳簿などの認識・ハンドリング技術、オペレータや利用者に操作しやすいヒューマンインターフェース技術を核としたソリューションを提供する。2004年度下半期には新製品を投入する予定という。
日立とオムロンは2000年、交通機関の予約や公共サービスなどが利用できる次期ATMの共同開発に関して提携を行った。今回の新会社設立はこの提携関係を発展させたものだ。日立はITを活用したソリューション事業に強く、オムロンはカードリーダ事業に強みがある。また、顧客層も日立が郵政公社や都市銀行を中心としているのに対し、オムロンは信用金庫や農協などが中心なため、両社は相互補完関係にあるという。
オムロン代表取締役社長の作田久男氏は今回発表された新会社について、「3つのナンバーワンを狙えと話している。それは国内金融端末市場、中国のATM市場、そして紙幣処理モジュールの世界市場で1位となることだ」と意気込む。
国内のATM市場においては、「両社のシェアを合わせると40%程度となり、トップシェアになる」と日立製作所執行役社長兼取締役の庄山悦彦氏も自信を見せる。
中国市場に関しては、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博開催に向けて金融インフラの整備が進められていることから、事業体制の強化を目指す。中国市場では現金自動支払機(CD)が中心だが、両社は還流式ATMを売り込むことで市場開拓を狙う。両社の売上高の合計のうち、海外比率は現在20%程度だが、これを30〜40%にまで拡大する方針だ。
新会社の売上目標については、2007年に1200億円規模を目指すという。2004年に国内における新券の発行が控えていることもあり、現在両社の同事業を合わせた売上規模は1000億円超という。ただし、新券特需が終わる2005年には800〜900億円規模にまで落ち込む見通し。製造拠点は、現在オムロンが草津に、日立が尾張旭に設けているが、今後は日立側に集約していく方針とのことだ。
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