「スループットコンピューティングによって、アプリケーションのスループットが向上するとともに、ネットワークコンピューティングのコストが削減できる」。サン・マイクロシステムズは12日、プレスセミナーを開催し、同社の提言するスループットコンピューティングを実現するためのプロセッサ技術について解説した。
サンのプロダクト・マーケティング本部ハードウェア担当主幹部長、野瀬昭良氏によると、現状のプロセッサの問題点は「ムーアの法則に従ってトランジスタの密度は順調に上がっているが、メモリがボトルネックとなって処理性能があがらない点」だという。つまり周波数が高くとも、待ち時間の短縮にはつながらないのだ。そこで、スループット(実行処理の総量)を高めるようなプロセッサを設計することに注力するというのが、同社のスループットコンピューティング戦略である。
では、スループットコンピューティングを実現するために必要な技術は何なのか。現状のシングルスレッドのプロセッサでは十分な性能が発揮できないとなると、それをマルチスレッディング化すればよい。この考えにより、マルチスレッディング(CMT)技術が登場した。
サン・マイクロシステムズ プロダクト・マーケティング本部ハードウェア担当主幹部長、野瀬昭良氏
CMT技術の開発は現在順調に進められており、2004年初旬には初のCMTプロセッサとなるUltraSPARC IVが登場する。これはデュアルスレッドのプロセッサで、現行のデータセンター向けハイエンドプロセッサ、UltraSPARC IIIと比べて2倍のスループットが実現するという。2004年後半には、ブレードサーバに最適とされる新製品ラインが登場し、同ライン初の製品となる2スレッドプロセッサのGeminiがリリースされる予定。さらに2005〜2006年頃には、同ラインで第2世代CMTを搭載したNiagaraが発表される予定だという。これらのプロセッサは、現行のネットワーク向けプロセッサであるUltraSPARC IIIiと比較した場合、Geminiで3倍、Niagaraで15倍のスループットを実現するという。
このように、複数のスレッドを並列処理するという考え方は、インテルのハイパースレッディング技術や、IBMのPowerプロセッサでも実現している。そのなかでサンの強みは、「マルチスレッド対応のOS、Solarisを抱えていることだ」と、同社広報チーム プログラムマネージャーの池田明氏はいう。「スレッドの処理を並列に分けるのは主にOSの役目。スレッドが多くなればなるほど、OSがマルチスレッド対応であることが重要となる。Solarisはソフトウェアの並列処理を行うために、すでにマルチスレッド対応となっていた。それをハードウェアにも対応させることは比較的簡単で、(Windowsのように)マルチスレッド対応のOSを1から開発することに比べると優位性は明らか」(池田氏)。なお、IBMより来年リリース予定のPower5もマルチスレッド技術を採用する予定だ。
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