米IBM、次世代半導体Power5にマルチスレッド

 米IBMは19日(米国時間)、1つの半導体に複数の半導体と同じ働きをさせるマルチスレッド技術を、自社製半導体Power5に採用すると発表した。半導体技術革新に対応する動きだ。

 同時マルチスレッド技術とは、1つの半導体で2つのアプリケーション、または1つのアプリケーション内の2つのスレッドを同時に実行できるようにする技術。これにより、1つのタスクの実行に要する時間が短縮される。

 実験段階では「一般的に約40%の性能向上が見られる」と、同社システムグループの技術評価担当ディレクターのJoel Tendlerは18日、スタンフォード大学で今週開催中の半導体設計に関する会合Hot Chipsの席で述べた。

 IBMは、同会合にサーバー用半導体Power5についての報告書を提示しており、IBMも、同社内でPower5をサンプル稼動中で、AIXとOS/400とLinuxのOSを動かしていることを発表した。Power5は2004年中には商品化の計画である。

 マルチスレッドとマルチコアの半導体は、半導体市場の中心となりつつある。半導体設計者はこれまで、消費電力を急増させずに性能を向上させる方法を求め試行錯誤を繰り返してきた。消費電力の増加はシステム稼動コストを大幅に上げ、放熱や信号伝送に関する問題を引き起こす可能性があるが、10年前の半導体設計の現場では全く問題視されていなかった。

 マルチスレッドの根底にあるのは、「遊び」の削減という概念だ。半導体サブコンポーネントの多くは、大半の時間をほかのサブコンポーネントからのデータ待ちに費やし、その間何もしていない。10進法計算を専門で行うFPU(浮動小数点数演算装置)がその例だ。

 Power5は既に商品化されている半導体Power4+をベースとしている。しかし、マルチスレッド化のために、IBMは多くの機能の追加を求められたとTendlerは語る。例えば、半導体が稼動中にデータを記憶するのに使われるレジスター数は80から120に拡大され、同じ半導体上のサブコンポーネント間でのリソースの奪い合いを避けるための対応がとられている。また、Power5はコンピュータのOSがスレッド間でタスクの優先順位付けをするよう設計されている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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