米HPのリーダーシップを強調するフィオリーナCEO

 ニューヨーク発--米Hewlett-Packard(HP)最高経営責任者(CEO)のCarly Fiorinaは9日(米国時間)、米Compaq Computerを買収したことで、自社がハイテク業界のリーダーとして浮上し、追従者ではなくなったという考えを金融関係者に理解してもらおうとした。

 Fiorinaは金融アナリストとの会合の開始早々、「HPは停滞していない。そうではなく、HPは競争している事実上すべてのカテゴリで、主導的地位にある」と述べた。

 今回の会合は、同社が大企業への販売戦略や、競合する米IBMや米Dell Computerとの差別化戦略をより明確に説明するチャンスだとして、アナリストの注目を集めていた。

 HPは、先頃新たなサービス事業に10億ドルを投資したことを発表し、存在感を強調している。

 また同社は、サービス部門とハイエンドコンピューティング部門をまとめ、「テクノロジーソリューション」事業に一本化する計画だと述べた。ただし、財務報告のなかは、今後もサービス部門とハイエンドコンピューティング部門を別々にもりこむという。

 さらにHPは、管理アプリケーションを専門とする、ソフトウェア部門の経営数値を詳細に発表していく。同社は昨年、4つのソフトウェアメーカーの買収を発表しており、今後も小規模なソフトウェア会社の買収を続けていく、とFiorinaは語った。

「我々は(ソフトウェア部門で)買収を続けていく。我が社が今までに買収した企業は・・・どれも小規模なものだ。今後もこうした買収を続けていくだろう」(Fiorina)

 ただし、米Electronic Data Systemsなどの大規模なサービス会社や、コンサルティング企業大手などの買収には関心がない、とFiorinaは話している。同氏は、コンサルティング市場は規模が大きすぎる上、概して価格が高騰しすぎている点を指摘し、「サービス企業大手を買収したいとは思っていない」と述べた。

 HPは、以前に発表した、アイルランド銀行との6億ドルのアウトソーシング契約のほかに、米Novellや米Land O'Lakesおよび米郵政公社と、10億ドルのサービス契約を結んだことを明らかにした。

 HPが獲得した大型案件のなかには、ルーマニアの国民健康保険局(Romanian National Health Insurance House)と結んだ1億3500万ドルの15年間契約や、プラスチックメーカーの豪Amcorと結んだ1億1500万ドルの契約も含まれる。米郵政公社とは、ワシントンにある本社システムのアップグレードに関して、8年間にわたる5000万ドルの契約を結んでいる。

収益の安定が目標

 進捗に関するコメントと合わせて、Fiorinaは、HPの財務状況の不安定さについても言及した。HPは7月には収益見込みを達成できなかったが、直近の四半期には黒字化を実現、売上げで予想を上回り、各事業部門で営業利益を確保した。

 「もっと安定した業績を残す必要があることは認識している」(Fiorina)

 しかしFiorinaは、HPが競合他社の後を追いかけてビジネスを展開しているとの考えを突っぱねた。

 「HPはIBMとDellの間で停滞しているという表現が、最近流行しているのは知っている」とFiorinaは述べ、HPをそのように位置づけるのは、特に他社にとって都合がいいのだと付け加えた。「残念ながら、事実はこの説を支持していない」(Fiorina)

 HPはいまでも事業コストの削減を続けていると、Fiorinaはいう。6月に行った発表のなかで、HPは今年、買収関連のコスト削減額35億ドル以外にも、10億ドルのコストを削減可能だと述べていた。

 「この(10億ドルの削減目標)も達成見込みで、実際には(12億ドルの)コストを削減するだろう」(Fiorina)

 組織再編の一部として、サービス部門とハイエンドコンピューティング部門を統合した新事業部門の責任者には、現在HP Servicesを率いるAnn Livermoreが就任する。この部門統合は、10月に始まるHPの会計年度の後半に実施されると見られている。また、現在エンタープライズシステム事業を統括しているPeter Blackmoreが、この部門の販売部門の責任者となる。

 同社はまた、販売部門の再編も続けている。例えば、プリンタやPCを大企業に販売する部門は、Blackmoreの指揮するエンタープライズ販売部門に移される。そして、BlackmoreとLivermoreの両者は、引き続きFiorinaの指揮下で活動する。

 HPによると、世界の小売市場で同社が押さえる売り場面積のシェアは10%で、家電分野など新たな市場への参入を間近に控えた同社にとって、この足掛かりは重要になるという。

 「消費者は、新しいカテゴリーの商品を探す時には、実際に売り場に足を運ぶ」(Fiorina)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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