「インテルのような資金が潤沢にある企業と互角に戦うためにはどうすればいいのか。われわれの出した答え、それがAPMだ」。こう語るのは、AMDでAPM(Automated Precision Manufacturing:自動調整製造)担当ディレクターを務めるトマス・ソンダーマン氏。同氏は、AMDが同社の数ある特許技術を屈指してあみ出したという半導体製造工程における自動調整製造技術についての説明会を行った。
APMで実現できるのは、製造工程における自動化と管理。物理的なモノの動きの自動化に加え、ソンダーマン氏が言うには、意思決定などの人的判断が必要な部分もAPMで自動化できるという。「これにより、効率のよい生産とコスト削減が可能になる」とソンダーマン氏。同氏は、製造技術に関する業界コンソーシアムSEMATECHの調査で、AMDのファブが効率性を示す8つの項目のうち5つで最高値を得たと述べ、同技術に対する自信を見せる。
実際のAPMの機能としてソンダーマン氏は、「高度なプロセス管理でレシピコントロールができる。不具合の検知も自動的に行い、
AMDのAPM担当ディレクター、トマス・ソンダーマン氏
APM 2.0はすでにAMDのファブの多くで採用されているが、次世代のAPMである3.0は、現在独ドレスデンにて建設中で、2006年に量産開始予定の「AMD Fab 36」工場にて導入される予定。3.0での新機能は、ロットレベルで行われていたレシピコントロールがウエハレベルでできること、装置の異常検知・解析がツールのみならずファブ全体で行われること、ウエハの中のどのダイで異常が起こったか、正確にトレースできることなど。特に「全く人の手を介さずにレシピが変更できる点や、必要に応じてサンプリングがその場その場でできること、ウエハのみならずダイのトレースまでできることは、同様の技術を採用している他社にもない機能だ」とソンダーマン氏は主張する。
実際に何%のコスト削減および効率性があるのかという具体的な数字は得られなかったが、「この技術を使うことにより、AMDのブレークイーブンポイントはインテルのものよりずっと低いことは事実だ」とソンダーマン氏。「インテルはファブを設立するための資金を十分持っているが、そのための無駄なコストも使っている。そのコストを最終的に支払わなくてはいけないのは、エンドユーザーなのだ」と同氏は述べ、AMDの製品がコストパフォーマンスの高いものであることをアピールした。
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