英国では、議会の次の会期中に、論議を呼んでいるある計画が検討されること になっている。ある計画とは、バイオメトリクス情報を含むIDカードを強制的に導入し、これを政府のデータベースと接続しようとするものである。
政府が26日(現地時間)、議会開会時の勅語のなかで明らかにした法案が成立すると、2010年までに全英国市民に対してバイオメトリクスを利用したIDカードの使用を義務づけ、またこのIDカードと政府の管理する中央データベースを結ぶシステムが構築される可能性がある。
事前の予想通り、David Blunkett内相は、このIDカード構想に反対する数人の 大臣から出された反対意見を押し切り、議会の次の議題として「Identity Cards Bill」議案を提案することになった。
このIDカードを支えるのは、全英国市民に関する情報を納めた中央データベ ースである。警察や英国民健康保険などの政府や公的機関は、このデータベースを利用してIDを確認することになる。
同議案によると、このIDカードには、虹彩や指紋スキャンなどのバイオメトリク ス情報が含まれることになっており、パスポートや運転免許証などと組み合わされる。 パスポートと運転免許証には、2008年までにバイオメトリクス情報が組み込まれる予定である。
このIDカードの発行には1枚あたり35ポンドかかるが、これをどの程度強制力のあるものにするかは、次の二段階に分けて決定される。
まず政府は、ある種の公的サービスを利用するためのIDカードを作成することを義務付ける権限を有することになる。これは、Blunkettが当初提案していた「給付」カードの計画を引き続くものだ。
しかし、プライバシー擁護団体にとっては、5年後に政府がIDカードの携行や製造を義務付ける力を持つことのほうが、より大きな不安のタネになっている。
内務省が以前に明らかにした概略によると、この構想に必要な基本的なシステムを構築するのには、初期の設定コストだけで1億8000万ポンドもかかり、最終的には30億ポンドに上るという。
David Blunkettは、声明のなかで、このようなIDカードは、テロや組織犯罪、不法入国など「21世紀の課題に取り組むこと」に役立つだろうと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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