米国のセキュリティ基準を遵守するために、バイオメトリクス情報を搭載したRFIDタグがEU(欧州連合)のパスポートに組み込まれる。
標準化団体がRFID技術を迅速に実装できるようにした後、新しいEUのパスポートには、バイオメトリクス情報を含む無線を用いたIDシステム(RFID)チップが組み込まれることになる。
国際的な技術標準策定機関ならびに民間航空機関は、旅客者の「機械の力を借りた身元確認」を可能にする、詳細情報を含んだパスポートの実装に取り組んでいることを明らかにした。これは、2004年10月以降、米国を訪問する際に必要となるもの。
EUのこの動きは、米国が、通常は同国訪問に関して渡航ビザを必要としない国からの訪問者のパスポートに、バイオメトリクス情報が含まれていることを求める厳しい法律の導入を受けたもの。これらの国のなかには、英国をはじめとする多数のEU加盟国が含まれる。「US Enhanced Border Security and Visa Reform Act of 2002」(国境警備強化・ビザ入国改正法)では、これらの国は機械読み取りが可能なパスポートを発行しなければならないが、このパスポートは、International Civil Aviation Organisationが策定したバイオメトリクス認識標準に準拠した認証技術を用いた、いたずらされにくいものでなくてはならない。
ISO(International Organization for Standardization)とICAO(International Civil Aviation Organisation)の各作業グループは、来週ロンドンで会合を開き、同プロジェクトの主要な点について話し合うことになっている。これには、国際的な互換性の実現や収拾されたデータの保護をどうするかなどが含まれる見込みだ。
EUは、ギリシャで開かれた6月サミットで、バイオメトリクスID戦略を開発することで合意している。EUのこの動きに対し、市民自由グループは、この計画が個人の権利を侵害するものだとして批判している。
RFIDタグは、洋服や家畜などさまざまな製品に用いられており、バーコードに代わる商品追跡の選択肢として使われている。RFIDには、箱を開けることなく箱の中味の一つ一つを認識できる点など、バーコードと比較していくつかの優位点を持つ。チップがパスポートに組み込まれていれば、入国管理の係員は、シンプルな方法で旅行者がパスポートの所有者であることを確認できるようになる。
また、RFID技術は荷物管理でも有効だ。すでにシンガポールのチャンギー空港、アムステルダムのスキルポール空港、ニュー・ヨークのジョンFケネディ空港で、今年後半に実験的に使用されることが決定している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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