バイオメトリクス認証の分野で、米国が欧州に指導力を期待

 米国土安全保障省のTom Ridge長官によると、米国と欧州は、テロ活動を抑制するため、パスポートにバイオメトリクス(生体認証)技術を導入する必要があるとの認識で一致しており、世界の他の国々にその導入方法を示していく必要があるという。

 Ridge長官はOtto Schily独内務相との会談後の会見で、世界の他の国々がバイオメトリクス技術を導入するための道筋を立てるのは、米国と欧州の仕事だと語った。

 Ridge長官は、「欧米連合の合意によって、国際的な議論が行われるようになる」と語り、さらに米国と欧州はこの分野の"先駆者"になるだろうと付け加えた。

 欧州ではすでに、ビザや在住許可証にバイオメトリクス技術を導入する計画が検討されているが、米国は指紋や顔認証用データなど、生体認証に必要な要素のパスポートへの導入を熱望している。

 バイオメトリクスが議論されている背景には、パスポートの偽造防止のため、世界共通のパスポートの国際基準策定に向けた動きを推進したいとの欧米の思惑がある。Schily内務相はパスポートの国際基準が導入されなければ、旅行は難しくなるだろうと付け加えた。

 またSchilyは、(眼球の)虹彩認証も空港で導入される可能性はあるが、導入には多額のコストを伴うため、EUの大半の国々は、計画に及び腰と見られると語った。米国はすでに国境検問所への新技術の導入を計画しており、来年から最新のスキャニング(走査)や目に見えないインクを使った指紋検査を導入する予定。

 米国では2004年10月から、指定国からの入国者にバイオメトリクス・パスポートの所持を義務付ける。これまで、これらの人々には、事前にビザを申請するよう義務付けていたが、大半の人々がその義務を免れていた。EUの一部の国はバイオメトリクス・パスポートの準備を進めているが、期限までに準備が整う国はほとんどないと見られる。

 また欧米間で、航空会社と、航空会社が譲渡しうる欧米間の旅客についてのデータをめぐり争いが生じたことを受け、プライバシー問題も持ち上がった。Ridge長官は、欧州大陸のプライバシー問題について理解を示した上で、ヨーロッパ人旅行者が受けるのと同じレベルの検査を、米国人旅行者も受けることになると語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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