英国では、IT技術が職場で有効に活用されておらず、その主な原因は経営者がITを理解し実装できないからだという。 これは、英The Work Foundationの1部門であるiSocietyがまとめた、新たな報告書が伝えるメッセージだ。英国の企業は毎年、情報・通信技術(ICT)に500億ポンド投資しているが、その投資は有効に活用されていない、とこの報告書は主張している。
iSocietyによると、多くの情報・通信技術関連プロジェクトがうまく進んでおらず、新技術を導入しても、仕事上の負担が増えるばかりで、古くて効率の悪いやり方が改まっているわけではないという。
その結果、従業員も経営者も、本来生活を楽にするためであるはずの技術そのものに対してフラストレーションを感じているとiSocietyは指摘する。
「一般に技術が機能していない状況が、我々の調査によって確認された」とThe Work Foundationのシニアリサーチャー、Max Nathan。「これは、多くの人々にとって日々のフラストレーションや苦痛になるだけでなく、英国の企業や経済全般に悪影響を及ぼすものだ。英国の企業はここ10年間、ITCシステムに何十億(ポンド)もの金を投資してきたが、この投資はもっと活用されねばならない」(Nathan)
「Getting By, Not Getting On: Technology in UK Workplaces」(うまく機能せず、かろうじてやり過ごしているだけ:英国の職場における技術事情)というタイトルの、iSocietyのこの報告書は、小規模企業から多国籍企業まで、さまざまな規模の英国企業8社を調査した結果をもとに作成された。
「技術を使う仕事は、非常にフラストレーションが溜まる可能性がある」という報告書の主なメッセージには、それほどの驚きはない。しかしiSocietyは、それが仕事生活の基本的部分となっていると主張し、この問題を重視している。
こうした状況の責任は、ITCの基本スキルを欠くユーザーや、サービスする相手と触れ合うことをしない(またはできない)ITスタッフ、そしてハイテク業界など、さまざまな範囲に及ぶ。iSocietyはハイテク業界について、製品を過剰に持ち上げ、請け合ったほどの性能・機能を提供できずにいると批判している。
しかし同報告書では、テクノロジーがどんなものか分かっておらず、そのため正しい戦略上の判断を下せない「ローテクな経営幹部という失われた世代」に特に責任があると述べている。
「英国の企業幹部の大部分は、ハイテク技術に慣れ親しんでこなかったため、ICTを理解できない『失われた世代』に属している。こうした知識のある技術者は、重要な意思決定にはあまり関与せず、主だった経営幹部からは外されている傾向が強い。その結果、ローテクな経営幹部が、英国の経済をローテクな均衡点に押し下げてしまっている」(同報告書)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス