米ブッシュ政権、上院にサイバー犯罪条約の締結を迫る

 米国のBush大統領が上院に初の国際サイバー犯罪条約を批准するよう求めた。

 Bushは、17日に上院に送った書簡の中で、論議を呼んでいる欧州会議(CE)の条約について、「コンピュータ関連犯罪の撲滅に向けた世界的取り組みにおける有効な手段」であり、「コンピュータ関連犯罪や電子的証拠収集といった問題に対処するための、唯一の多国間条約」だと述べた。

 米国にはCEでの議決権はないが、著作権侵害、オンライン詐欺、児童ポルノ、ネットワークへの侵入に関する国際的な犯罪基準を確立するための一手段として、サイバー犯罪条約締結を強く求めてきた。米司法省はこの条約により、「国際的調査を遅延させたり、あるいは危険にさらす可能性のある、手続き上および管轄上の障害」がなくなるとしている。

 一方、人権擁護団体は、この条約によってプライバシーが脅かされたり、政府調査官のもつ権力が強大になりすぎる恐れがあるとして、2000年はじめに条約が公表されて以来、一貫して締結に反対してきた。またAmericans for Computer PrivacyやInternet Allianceといった業界団体も、インターネットの匿名性が制限されたり、米国のインターネットサービスプロバイダ(ISP)に、ある程度の記録管理義務が課される可能性があるとして、条約締結に反対してきた。

 「この条約の影響が及ぶ範囲は、サイバー犯罪対策だけに留まらない」と米国自由人権協会(ACLU)の技術/自由プログラム担当理事、Barry Steinhardtは語る。「この条約が締結されれば、参加国はあらゆる種類の侵害的な監視手段の採用を強制され、また調査対象の活動が自国では犯罪とされていない場合でも、他国への協力が義務付けられる」(Steinhardt)

 CEによると、これまでのところ同条約を批准した国は、アルバニア、クロアチア、エストニアの3国のみという。Bush政権は、仮に上院が同条約を承認すれば、米国法はすでに同条約の規定を遵守しているので、これ以上の法的変更は必要ないと考えている、と述べた。。

 この条約では、各参加国に対し特定のコンピュータ犯罪に利用する目的で設計されたソフトの配布を禁止するよう義務付けている。またISPは、要請に応じて確実に「迅速なトラフィックデータの保存」を行うことを義務付けられており、調査当局のISPに対するリアルタイムの盗聴も認められている。また同条約は、コンピュータ犯罪者の本国送還についても触れており、さらに警察が海外で電子的監視を行う際にその国の警察に協力を要請することも認められている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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