11月19日、都内でソフトウェア情報センター主催「SOFTIC 第12回国際シンポジウム」が開催された。オープンソース・ソフトウェアのビジネスと法的問題をテーマに、様々な議論が行われた。講演では米Microsoftアドバンスト・ストラテジー&ポリシー担当バイスプレジデントの古川享氏が登場し、Microsoftのオープンな姿勢を懸命にアピールした。
Micorsoftは同社のデスクトップOSが市場の9割を占め、米国では独占禁止法で提訴されるなど独占企業としてのイメージが強い。しかし古川氏は、Microsoftの歴史を振り返りながら、コンピュータの自由な市場を作ってきたのは同社だと強調する。「企業が自由に参入でき、お互いが切磋琢磨しながら自由な競争の中で大きな市場を作り出してきたのがMicrosoftの辿ってきた道だ」(古川氏)
PCが登場する以前は、メーカーがそれぞれ互換性のない独自のハードウェアを販売してきたと古川氏は指摘する。例えばメインフレームの時代には、どのようなCPUが使われているのか、バス・アーキテクチャはどのようなものかといった仕様は全く開示されていなかったという。「メモリカードも同一のメーカーから買うしかなかった。またプリンタなどのコネクタの形状もばらばらで、ユーザーは非常に高いものを買わされていた」(古川氏)。ソフトウェアについても、「APIやグラフィックス・ライブラリなどは開示も共通化もされていなかった」(古川氏)
Microsoftは自由な競争を促進するためにプラットフォームの情報を開示したり、デファクトスタンダードとしての提案を続けてきたと古川氏は言う。結果として、例えばCD-ROMがMacでもWindowsでも読めるといった互換性が実現したのだとした。
「1つのソフトウェアが100%のシェアを持つのは不健康」
米Microsoftアドバンスト・ストラテジー&ポリシー担当バイスプレジデントの古川享氏 | |
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古川氏は“Linux対Windows”のようにオープンソースが商用ソフトウェアと対立するものとして取り上げられることにも不満を述べる。「どちらを使うかではなく、自由にユーザーが使えるようにすべきだ」(古川氏)。重要なのは、ユーザーがどちらのOSを使うかではなく、オープンソースと商用ソフトウェアの間でコンテンツやデバイス、サービスなどを自由にやりとりでき、利用者がシームレスな環境を自由に使えることだというのだ。「1つのソフトウェアが100%のシェアを持つというのは不健康だ」(古川氏)
「オープンソースが存在するのはいいことだ。その結果、Microsoftが誤った方向に行かないようになる」(古川氏)。
さらにオープンソース系の企業がMicrosoftなどの商用ソフトウェア企業に対して攻撃的な発言をすることについても触れ、「自社の利益を追求するあまり、過激に他の企業を攻撃し、自社の優位性を強調してばかりいてはユビキタスな社会は作れない」(古川氏)と語る。
「色々なパートナーと協力してサービスを作り上げていくのがユビキタス社会だ。どちらの主張が正しくてどちらかが間違っているという姿勢はユビキタス社会ではない。お互いのスタイルを認め合うのがユビキタス社会であり、オープンな社会だ」(古川氏)と話し、オープンソースと商用ソフトウェアの共生を訴えた。
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