マイクロソフトは19日、同社が2001年10月より展開している中小規模企業向けのIT支援施策を強化した「全国IT推進計画II」を発表した。全国IT推進計画とは、同社が日本政府のe-Japan構想に賛同して始まったもので、全国IT実践塾やブロードバンドスクールを展開するなど、IT化を目指す行政や中小規模企業に協力する形で進められていたものだ。
全国IT推進計画がはじまって2年が経過したが、この2年間でマイクロソフトは、中小規模事業所向けにIT啓蒙活動を展開、IT実践塾を500回開催したほか、セミナースペースとIT体験コーナーを搭載した大型キャラバンカーで各地を回る「IT体験キャラバン」を206回実施した。また、中小規模企業のビジネスを支援するポータルサイト「経革広場」の開設や、地方自治体の電子化を促進するパートナー向け支援プログラム「知識の森」の開始、さらには無線LAN実装のPCを使った授業の実証実験を行う「ブロードバンドスクール」を岡山市内の小学校にて展開するなど、様々な活動を行ってきた。
今回発表された同計画の第2弾では、3つの新施策と、これまでの施策を強化した4つの施策を展開するという。新たに計画された3つの施策とは、中小企業向けコンサルタントの育成および認定、中小企業のIT化事例の映像データベース化、IT導入を促進するための金融面における環境整備である。中小企業向けコンサルタントについては、新たな資格制度を立ち上げ、初年度に約200名のコンサルタントを育成することを目標としている。事例データベースについては、3年間で500件の事例を公開するとしており、経革広場やブロードバンドスクール、IT実践塾でも活用していくという。金融面の環境整備としては、中小企業にとって最大の課題とも言える金融面での障害において、リースの際の与信審査に協力するといったサービスを行うという。一方、4つの強化施策としては、経革広場でのオンラインビジネスコミュニティの強化、文教や自治体向けの支援活動の強化、業種別ソリューションの強化、啓蒙活動の強化を行うとしている。
ブロードバンドスクールを開設している岡山市の市長、萩原誠司氏は、ブロードバンドスクールの成果として、「図書館での学習には限界があるが、PCを使った学習は無限大の知識空間の中に入っていける。その結果、子供たちは学習の基本であるセルフ・ティーチング(自己学習)を実行することができた。自らが進んで学ぶことで、成果が見えやすく、子供たちの情緒安定や自信につながっている」と述べた。さらに同氏はマイクロソフトの取り組みについて、「マイクロソフトは変わった。日本に対し、モノを売る市場として見るだけではなく、一緒に何かを生み出すためのパートナーとみなすようになった」と語った。
米MicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー氏 | |
---|---|
記者会見場に登場した米MicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー氏は、「e-Japan戦略の下、日本ではブロードバンドインフラが急速な発展を遂げるなど、ここ数年ですばらしい進化が見られた。日本における技術水準も非常に高い。このようにインフラは整っているにもかかわらず、日本では教育機関や中小規模企業においてテクノロジーの有効活用ができていないのが現状だ」と指摘し、「わが社のミッションは、すべての人々、すべての企業が、ITの利便性を十分に活用できる可能性を引き出すことにある。そのためにこの計画を推進している」と述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス