「10年前のことを考えてみよう。PCやインターネットはまだ一般に普及しているとは言い難い状態だったし、インターネットとは何かを知っている人も少なかった。それがほんの10年で状況はがらりと変わった。次の10年は、果たしてこの10年と同じようにエキサイティングでイノベーションにあふれたものになるのだろうか。その答えはイエスだ」。米MicrosoftのCEOスティーブ・バルマー氏は17日、早稲田大学にて講演を行い、このように語った。
次の10年間に一体何が起こるのか。バルマー氏は今後10年で、Webサービスが標準となり、複数のアプリケーションが互いにコミュニケーション可能となる点をあげた。「メーカーの違うソフトウェア同士もWebサービスでシームレスにつながるようになる。これまでコードの再利用や生産性の向上が叫ばれていたが、それがすべて現実のものとなるのだ」(バルマー氏)。ほかにも同氏は、「現在インターネット上にある情報のうち30%程度しかインデックス化されていないが、それがもっと効率よく管理されるようになる」ことや、「コンピュータの音声認識機能が発展し、PCに話しかけると身の回りのスケジュール管理までやってくれるようになる」、「画像の認識力が向上し、PC上でデジタル写真の管理が楽にできるようになる」といった未来のサイバー世界を語った。「以前米Intelの会長アンディ・グローブ氏が“近い将来、年間1億台のPCが出荷されるようになるだろう”と言ったとき、私とビル・ゲイツは“そんなことはありえない”と笑ったが、今では年間1億5000台のPCが出荷されている。これからも思いがけないようなことが起こり続けるだろう」とバルマー氏は述べた。
米MicrosoftのCEOスティーブ・バルマー氏 | |
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バルマー氏はまた、ユビキタス社会が到来することは確実だとし、現在人々が携帯電話を肌身離さず持ち歩いているように「PCと人がつながっている時間も1日16時間まで延びるだろう」としている。「企業同士のコラボレーションもPCで実現できるだろうし、オンライン上での教育も可能だ。シナリオは無限にある」とバルマー氏。
今回バルマー氏が早稲田大学で講演を行ったのは、マイクロソフトと早稲田大学がコンピュータセキュリティ分野の人材育成に向けて提携したという背景がある。これは、早稲田大学理工学部内のセキュリティ技術者養成センターに、Windowsテクノロジーを基盤としたカリキュラムを2004年4月より開設し、Windowsのコンピュータセキュリティ技術者や研究者の人材育成を目指すというもの。マイクロソフトは同センターへ講師を派遣し、早稲田大学学生を対象に実践的な知識と技術習得の機会を提供するほか、同社にて早稲田大学の学生をインターンシップとして迎え入れることや共同研究も行うという。
「Microsoftでは、R&Dに年間69億ドルを費やしている。だがR&Dには大学などアカデミックな分野とのパートナーシップが不可欠だ。わが社は世界中の大学とパートナーシップを結んでおり、早稲田大学との提携もその一環である」(バルマー氏)
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