日立製作所は11月17日、サーバ、ストレージ、ネットワークをモジュール化し、1つの筐体に収めた形で提供する企業向け次世代プラットフォーム統合システム、エンタープライズ・ブレード・システム(EBシステム)を開発し、2004年中に販売を開始すると発表した。サーバだけでなくストレージやネットワークまでをモジュール化する試みは「業界でも例がない」(日立製作所 情報・通信グループ 技師長 兼 CTOの礒辺寛氏)という。
今回発表されたEBシステムは、日立が2002年12月に発表したサービスプラットフォームコンセプト「Harmonious Computing(ハーモニアス・コンピューティング)」の中核製品となる。Harmonious Computingは顧客が指定するポリシーに基づき、リソース全体を管理しながら最適な状態を維持する自律運用型システムの実現をめざすもの。「EBシステムはユーティリティコンピューティングを実現するための基盤となるシステム」と礒辺氏は説明する。
EBシステムはモジュール単位でハードウェアを追加できるため、柔軟にシステムを拡張でき、TCOの削減が図れるという。「TCOの50%削減を目標としている」(礒辺氏)。またEBシステムではハードウェアやソフトウェアが最適化された形で提供されることから、ユーザーは個々のシステムをチューニングする必要がなくなり、システム開発期間を大幅に短縮できるとしている。
日立製作所 執行役専務 情報事業統括本部長の小野功氏
同システムで利用するサーバはIntelベースとなる。「Intelの64ビットアーキテクチャを開発の中心ターゲットとしている」(日立製作所 執行役専務 情報事業統括本部長の小野功氏)。日立はミッションクリティカルなサーバ分野でIBMと協力してUNIXサーバの展開を進めているが、小野氏は「顧客の要請に合わせてUNIXサーバとIAサーバを売り分ける」と説明し、IAサーバとUNIXサーバを両軸として進めていく方針を示した。
日立ではEBシステムの開発と共に、同社の統合システム運用管理ソフト「JP1」を強化したソフトウェアを開発する。各モジュールで構成されるシステム全体を一元管理し、資源配分を制御するという。これによりポリシーに沿ったシステムの自動運転を実現するほか、負荷の分析予測にもとづく資源の割り当てなどが可能になるとしている。
現在、ユーティリティコンピューティングという概念はIBMやHPをはじめとして多くのベンダーが提唱している。しかし小野氏は「日立はサーバ、ストレージ、ネットワークのコア製品を自社で作っている点が強み」として、他の専業ベンダーとは差別化が図れるとの考えを示した。
また同社はEBシステム開発に合わせ、業務アプリケーションの共通機能をコンポーネント化し、個々の業務アプリケーションの短期開発を支援する業務共通システム基盤、アプリケーションフレームワーク(APF/W)の開発も順次進める。2004年1月には、金融業務向けAPF/WであるJustwareの提供を予定している。
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