官民一体となったオープンソースの日中韓三国同盟が始動した。社団法人日本情報サービス産業協会(JISA)と中国ソフトウェア産業協会(CSIA)、韓国情報産業連合会(FKII)の3団体は11月14日、各国においてオープンソース・ソフトウエア(OSS)の推進組織の設立を進め、それらをまとめる「日中韓OSS推進パートナーシップ(仮称)」を創設すると発表した。各国はOSSの研究開発や普及促進活動を協調しながら進めていく。
14日に大阪で開催された「日中韓オープンソースビジネス懇談会」は、三国協調に向けたキックオフという位置づけ。この場に三カ国の業界団体のほか、政府関係者、民間企業、合計約500人が集結した。三国同盟の韓国側代表であるFKII会長の李龍兌氏は、「我々は、何もアメリカの会社を閉め出そうとしているわけではない。ユーザーの新たな選択肢をつくり、便宜を図ることが主な目的だ」と説明した。
日中韓OSS推進パートナーシップは今後、三カ国の協業についての具体的なアクション・プランを策定する。来年3月に第1回会合を北京で開き、7月に北海道、11月にソウルで、それぞれ会合を持つ計画。第1回会合までに、標準化や組み込み、サポート、人材育成といったワーキング・グループを設置し、テーマごとに議論を深めていく。
左からCSIAの陳沖会長、JISAの佐藤雄二朗会長、FKIIの李龍兌会長 | |
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日中韓OSS推進パートナーシップは、あくまで各国業界団体による連携だが、「活動を具体化させるためには、どうしても政府の協力が必要になるため、政府も巻き込んだパートナシップを三カ国でとっていく」(JISA会長の佐藤雄二朗氏)。実際、14日の懇談会には日本の経済産業省と中国の信息産業部、韓国の情報通信部から政府関係者が参加し、聴衆の前でスピーチを行った。12月には、ソウルで三カ国政府の局長級会談が予定されており、「日中韓OSS推進パートナーシップを政府側でも支援していく」(経産省商務政策局情報処理振興課長の島田隆氏)。
この日は、日中韓OSS推進パートナーシップの下部組織で、日本国内の動きをまとめる「日本OSS推進フォーラム」の概要も発表された。代表幹事は前総合科学技術会議議員である日立製作所取締役の桑原洋氏が務め、国内大手ベンダーの社長、及び社長歴任者が幹事団を構成する。12月に正式発足とし、日中韓OSS推進パートナーシップ同様、来年3月までにワーキング・グループを設置する計画。
幹事団のメンバーは、富士通会長の秋草直之氏、NEC社長の金杉明信氏、NTTデータ相談役の青木利晴氏、日本IBM社長の大歳卓麻氏、そして、JISAの会長でもあるアルゴ21会長の佐藤氏と、オールスターの布陣。コンピュータの企業ユーザー代表として、社団法人日本情報システム・ユーザー協会会長の河野俊二氏も幹事団に一員として参加する。河野氏は東京海上火災保険相談役も務める。
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