Linuxベースのアプリケーション開発において、アジアは西側諸国を追い越せるが、この機会を利用しようとしていない政府もあると、IBM幹部が語った。
「アジアのほうが米国よりも、オープンソース運動の進展が早い」と語るのは、IBMアジアパシフィックサウスでLinux販売マーケティング部門のマネージャーを勤める中原道紀氏。
同氏は、アジア地域では日本、韓国、中国そしてインドが、Linuxオペレーティングシステム(OS)を強力に支持していると指摘。「われわれは中国や韓国などの政府当局と話をしているが、彼らはオープンソースに対して非常に興味を持っている」(中原氏)
とりわけ、同氏が大きな潜在力を感じているのが、北東アジア地域での組込型Linuxアプリケーションの研究開発。組み込みLinuxは、米MicrosoftのWindows CE、英Symbianなどと競合しているOSで、ビデオレコーダー、携帯電話、ネットワークルータなどの電子機器に利用できる。
さらに、「クライアントエンドについては、特にインドや中国がLinuxの開発をかなり進めている」と同氏は付け加えた。
アジア地域のLinuxの勢いを考慮すると、アジアでも技術先進国のひとつに数えられるシンガポールが、なぜかオープンソースとは距離を置いてきており、技術的優位を築くチャンスをみすみす見逃すことに決めたことが、同氏には不思議でならないようだ。
「シンガポールは進んだ国だ。多くの研究施設があり、インターネットも早い時期から導入されている。しかし、Linuxに限っていえば、非常に保守的な立場をとっており、なぜそうなのか理由がわからない」と、彼はCNET Asiaに語った。
中原氏は、シンガポールで開催されたIBMビジネスフォーラムに参加しているが、その合間に報道関係者と懇談した。
中国、日本、韓国などでは、以前よりLinux支持を打ち出してきており、今年3月にはアライアンスを結成して、Linuxや関連アプリケーションの開発を進めようとしている。
この日中韓のような強い製造拠点を持つ国々にとって、Linuxはライセンス料のかからない、そしてソースコードを自由に書き換えられるOSを作り出す機会をもたらしている。また、中国やインドでは、米国企業が知的所有権を持たないOSの開発を、国家の威信をかけて行っているふしもある。
日本政府は最近、2005年に予定されるITシステムの更新の際に、Linuxへの移行を検討していると発表した。
いっぽう中国の北京市当局は2001年に、国内ベンダー企業に6つのソフトウェア開発契約を与え、Microsoftに肘鉄をくらわせた。この契約のなかには、中国政府出資のLinuxディベロッパー、Red Flag Linuxが開発するデスクトップ機向けOS、2000台分の納入が含まれていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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