SAS Institute Japanは12日、金融業界に特化したビジネスインテリジェンスのソリューション、SAS Banking Intelligence Solutions (BIS)日本語版を2004年第1四半期より提供開始すると発表した。これは、同社が各業界に特化したBIソリューションを提供するという考えの元に開発が進んでいるxIS(xは各業界を指す)シリーズの第3弾で、すでに国内でも通信業界向けのTIS(Telecommunications Intelligence Solutions)と保険業界向けのIIS(Insurance Intelligent Solutions)が発表されている。
米SAS InstituteのCEO、ジム・グッドナイト氏によると、同社の抱える金融業界の顧客数は全世界で7000社。これはSASの業界別顧客数の中でも一番数が多く、全体の32%を占めているという。日本では、全顧客1500社のうち98の銀行がSASのソリューションを採用しているとのことだ。グッドナイト氏は「金融業界はSASの顧客としても現在一番伸びている業界で、この業界に特化したソリューションを提供するに至ったことも自然な流れだ」という。
金融業界に特化したソリューションとして同社が提供するものは、カードやローンなど信用リスクに関わる商品のリスクや属性を測るためのコンポーネントをはじめ、リスク管理の報告義務に関する規制Basel IIに対応するためのコンポーネント、金融業界に特化した戦略的パフォーマンス管理をサポートするコンポーネント、キャンペーン効果の向上をサポートするコンポーネント、マネーロンダリングなどの不正取引を自動検知するコンポーネントなど合計8種類。ユーザーは、自社の個別ニーズにあわせて優先順位の高いソリューションから導入することができる。
米SAS Institute CEO、ジム・グッドナイト氏 | |
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「SASは単なるソフトウェアの会社ではなく、顧客の問題を解決するための会社だ」とグッドナイト氏。そのため同社では、約1年半前より各業界に詳しい専門人員を用意し、業界に特化したソフトウェアを提供しようという動きになったのだという。これまで通常のビジネスインテリジェンスソフトを購入しても大幅なカスタマイズが必要だったため、実装までの時間は年単位となることもあった。業界に特化したソリューションが提供されることで、カスタマイズの時間とコストが大幅に削減されることになる。ビジネスインテリジェンスソフトウェアを提供する企業としては、他にもビジネスオブジェクツ、SPSS、ハイペリオンといった企業が存在するが、業界に特化したソリューションは特に用意していない。
SASは今年10月に流通業界向けのインテリジェンスソフトウェアを提供するMarketmaxを買収しており、同業界に向けてのソリューションも強化している。SASの売上は2003年第3四半期に全世界で14%増、日本でも10%増加しているとグッドナイト氏は述べ、この売上げ増加も業界に特化したソフトの提供をはじめたことが大きいとしている。
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