日本IBM、DB2中小企業向けバージョンで市場拡大をねらう

藤本京子(CNET Japan編集部)2003年11月07日 19時03分

 日本IBMは11月7日、中小企業向けデータベース製品であるDB2 Universal Database Express Edition(DB2 UDB Express)に新しい料金体系を導入するとともに、DB2 Content Managerに中小企業向けバージョンを追加すると発表した。各製品の新料金体系および新バージョンは先月米国ですでに発表されており、両製品の中小企業に向けた戦略が日本でも展開されることになる。

 日本IBMソフトウェア事業インフォメーション・マネージメント事業部長の中川いち朗氏は、2003年の世界IT需要のうち、IBMが中小企業と位置づけている従業員数999人以下の企業約168万社からの需要が約3兆6000億円にのぼることを指摘する。「この市場は非常に大きい。特に日本では99%の企業がこのカテゴリーに入るとされており、わが社としても力を入れている分野だ」と同氏。IBMでは今回発表された製品以外に、WebSphere、Lotus、TivoliブランドでもExpress製品を展開している。

 DB2 UDB Expressの新ライセンス料は、1プロセッサにつき69万7000円で、1年間のメンテナンス料金が含まれている。従来の登録ユーザーライセンス方式の料金は、サーバライセンスが8万9300円、1ユーザーライセンスが1万7800円のため、「35人以上のユーザーがデータベースを利用する場合は、新料金体系の方が低価格」だという。もちろんユーザーが少ない企業は、従来のユーザー単位の料金を選択することも可能だ。

日本IBMソフトウェア事業インフォメーション・マネージメント事業部長、中川いち朗氏

 新価格が設定されたことにより、DB2 UDB Expressは競合製品であるマイクロソフトのSQL Server Standard Edition Processor License(87万2700円/CPU)や、先月米国にて発売されたOracle 9i Standard Edition One(1ドル125円換算で、91万4300円/CPU、日本未発表)より低価格となる。「従来の料金設定のみだと、42〜3人程度のユーザー数の場合、他社の製品が安くなる計算だった。だが新しい料金オプションでは他社のものとくらべてかなりの価格優位性がある」(中川氏)

 いっぽう、DB2 Content Managerの中小企業向けバージョン、DB2 Content Manager Expressは、Content Managerの中でも一番重要なコンテンツ管理機能のみを提供するもの。また、中小企業で作成されるコンテンツは主にWindowsベースのアプリケーションを使ったものが大半であることを見込んで、サポートするプラットフォームをWindowsのみと限定することで低価格を実現させた。価格は、サーバライセンスが1サーバあたり134万1000円、同時ユーザーライセンスが1ユーザーあたり15万2100円。通常版の425万2000円/サーバ、35万4300円/ユーザーより割安感がある。

 「米国における数々の不祥事や、日本でのe-Japan構想など、コンテンツ管理の需要は大変高まっている。米国ではすでに年率30%の成長が見込まれている市場で、日本でもこれから伸びていくだろう」と中川氏。

 中小企業に向けた製品を揃えているIBMだが、これまで同社はこの市場に向けたアプローチがあまり得意でなかったことは中川氏も認めている。そのうえでIBMは、昨年12月にソフトウェア・コンピテンシー・センターを渋谷に開設し、パートナーがIBMのソフトウェア製品をベースとしたソリューションの稼働検証を行えるようにしている。「Express製品は、ISV(独立系ソフトウェア会社)のパッケージ製品にバンドルしやすくすることにも力を入れている。パートナーとの協業を強化し、(これまでIBMがあまり踏み込めていなかった)中小企業に対してアプローチしていきたい」と中川氏は語った。

 新ライセンス方式のDB2 UDB Expressは、12月5日からダウンロード販売を開始、パッケージ版の出荷開始は2004年1月9日から。DB2 Content Manager Expressは、11月15日からダウンロード販売を開始、パッケージ版の出荷開始は12月3日を予定している。

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