米Seagate Technologyは5日、OEM供給専用のデジタル家電向けハードディスクドライブ(HDD)を発表した。すでに今年の夏よりデジタルビデオレコーダー(DVR)機器の世界的なトップメーカーに向けて出荷しているという。
今回発表された製品は、容量が40〜160GB。画質にもよるが、最大で160時間のテレビ番組を録画できる容量だ。動作音がほとんど気にならない2.5ベルという低アコースティック設計や、ビデオストリーミングに適した新規格に準拠していることが特徴。
ビデオストリーミングに適した新規格というのは、技術委員会のT13がDVRアプリケーション用のエラーチェックの手順を制御するために設けた規格。PCはHDDでのエラーチェックの回数が多いため、家電製品にそのままPC用のHDDを利用するとビデオストリーミングがスムーズに行われない。このため、これまで各HDDメーカーは独自の方法でエラーチェックの時間を制限してきたが、これを標準化し、ATA-7ストリーミングコマンドセットという標準規格を設けた。米Seagate Technologyのグローバルコンシューマーエレクトロニクス マーケティングディレクター、ロブ・ペイト氏によると、同規格をサポートするのはシーゲイトが業界初であり、「これによりOEMメーカーに対する柔軟性が増す」と語った。
米Seagate Technology グローバルコンシューマーエレクトロニクス マーケティングディレクター、ロブ・ペイト氏 | |
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Seagateは、HDD市場全体での世界シェアが35%、エンタープライズ市場に至ってはそのシェアが58%にのぼる。今回発表したHDDがターゲットとしているCE市場、特にDVR機器におけるシェアなどは「まだ市場が成熟していないこともあり、はっきりしたシェアはわからない」(ペイト氏)とのことだが、「DVR機器のHDDにおいてもトップ企業の中に入っていることは確かだ」とした。
これまで主にコンピュータ向けのHDDを生産してきたSeagateだが、今後はデジタル家電向けの製品も積極的に生産していく構えのようだ。ペイト氏は「(Seagate社内でも)まだデジタル家電向けHD製品の生産比率は比較的低いものだが、この市場は大変速いスピードで成長している。IDCの予測によると、DVRの出荷台数は2003年の300万台から2006年には5000万台まで伸びるとされている。5000万台という数字は、現在のPCの出荷台数に匹敵する数字だ」と述べ、高まる市場ニーズに対応していくとした。
今回発表した製品はOEM向けのHDDであり、一般に市販されるものではない。どのOEMメーカーに製品を提供しているかについては、「メーカーとの守秘義務がある」とのことで明かさなかったが、日本の大手電気メーカーを含め「数えきれないほどのメーカーと提携している」と述べた。また価格についても明らかにはされなかった。
「今後はさらに大容量のHDDが求められ、小型化、低価格化が進むだろう。PCに2GBのHDDが搭載された当時は”何に使うんだ?”と言われたが、デジタル家電市場ではいまや160GBでも十分でないほどだ」とペイト氏。同氏は、「PCメーカーと家電メーカーの両方が参入しているこの市場は大変面白く、これにより市場が発展し、価格も下がっていくだろう」と述べ、今後もコンシューマー市場で戦う意気込みを見せた。
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