デジタルメディア企業の米SightSound Technologiesが、独Bertelsmannの子会社に対する特許訴訟で勝訴したが、この判決がオンライン音楽/ビデオのダウンロード配信ビジネスに、広範な影響を及ぼす可能性がある。
米ペンシルベニア州マウントレバノンに拠点を置くSightSoundは、音楽/ビデオのオンライン販売およびダウンロードに関する、3つの特許を保有している。同社は1980年代後半に申請した特許権を侵害されたとして、 1988年にインターネットサイト、CDNow (独メディア大手Bertelsmannの子会社)を提訴した。この裁判は、SightSoundが保有する知的所有権の有効性が審査された最初にして唯一の裁判だ。
ペンシルベニアならびにピッツバーグの西部地裁の連邦判事は10月30日、SightSoundのBertelsmann子会社に対する略式裁判の申請を認めた。これにより、5年間に及ぶ論争は、陪審による裁判にかけられることになる。これに対し、Bertelsmannは、SightSoundが米国特許商標庁(USPTO)に適切な情報を提出しなかったことを理由に、SightSoundの提訴を棄却するよう地裁に求めたが、地裁はこの請求を退けた。
Kenyon & Kenyon法律事務所の弁護士で、SightSoundの顧問弁護士を務めるWilliam Wellsは、「我々は、裁判所が十分に吟味した上で出した見解に大変満足しており、この件が裁判で審理されることを心待ちにしている」と語った。
仮に陪審が、SightSoundに特許権を行使する権利があると判断すれば、それはネット上でダウンロード可能な音楽やビデオを販売しているほとんど全ての企業に影響を与える可能性がある。ユーザーがネット上で合法的にビデオや音楽を入手できるダウンロードサービスが増えていることから、同判決の重要性はさらに高まっている。
今回の特許裁判の判決は、まだ確定判決ではないものの、オンラインメディアを構成する最も基本的な技術や手法が、これまで考えられていた以上に私的に所有されていることを示唆している。例えば、Acacia Media Technologiesは、ネット上で利用される最も基本的なマルチメディア技術の1つである、圧縮された音声または映像をネット上で発信するプロセスに関する特許の所有権を主張している。
SightSoundは1992年に取得した特許により、特に「通信回線」上での「デジタル音声/映像信号の電子販売/配信」技術の支配権を握っている。同社は、CDNowが行っている「全ての特許権侵害行為」の差し止め、および同社に対する損害に対する賠償を求めて提訴している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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