技術界の巨人同士の、短距離・高速無線通信技術の標準を巡る戦いは、再びヒートアップしてきた。一方の陣営が、その技術のロイヤリティを無料にすると他方に約束したからだ。
この提案を行ったのは、UWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる新しい無線技術の2つある仕様のうち、一方を支持する米Motorolaと米XtremeSpectrumの2社である。UWBは、機器間を100Mbpsの速度でつなぐことができ、競合技術であるBluetoothよりも高速である。Bluetoothは現在、携帯電話やPDAなどの機器で使われており、これはUWBがターゲットとする市場と一致する。
ロイヤリティは、企業が知的財産(IP)で収益を得る2つの手段のうちの1つ。機器メーカーから、その技術を使用した機器が製造・販売された台数に応じて料金を徴収する。さらに、メーカーに対して技術自体のライセンス料が要求されることも多い。
「標準化承認に向けて、ライセンスにかかわるあらゆる制約を除いた--すなわちロイヤリティフリーである」と、XtremeSpectrumの最高経営責任者(CEO)のMartin Rofheartは声明の中で述べている。「ライセンス関連の問題を取り除くことで、業界が望む広範囲なユーザーへの拡大に一歩近づいたと考えている」
Texas Instruments(TI)は、Intelとともに上記2社の対抗となる仕様を支持している。同社もまた、その技術のロイヤリティを無料にする予定だ。しかし、最終的な確約を行う前に、ソフトウェア界の巨人Microsoftを含む他社がこの仕様を支持を発表するのを待っている。
「我々は(Motorola-XtremeSpectrum陣営と)同じことをするつもりだが、これは大きな業界覇権争いの中で起こるべくして起こったことである」と、TIのコンシューマネットワークビジネス部門のゼネラルマネージャを務めるYoram Solomonは話す。
Intelからのコメントは、10月29日までに得られなかった。
通信業界の調査会社であるAllied Business Intelligenceの予想によれば、IEEE 802.15.3aとなる予定のこのUWB標準の覇者は、2007年までに13億9000万ドルの売上が期待できるという。
このつばぜり合いは、標準化を行う802.15のタスクグループで、2つの提案のいずれを採用するかを決めるミーティングが再び開かれる、わずか2週間前に起こった出来事。最近開かれたIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)のUWBタスクグループの会合で、投票の結果多数派となったことで、TI-Intel陣営は有力候補に浮上しているが、ただし可決に必要な75%には達していない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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