この秋、南極で観測される皆既日食をインターネットで中継する試みが日本で始まろうとしている。
日食などの天文現象をネットで中継する非営利団体ライブ!ユニバースは10月24日、1カ月後の11月24日に南極で観測される皆既日食をインターネットで中継するプロジェクト「LIVE! ECLIPSE 2003」を実施すると発表した。11月3日よりサイトを正式オープンさせる。URLはhttp://www.live-eclipse.org/。日本語と英語の2カ国語に対応する。
皆既日食が起こるのは日本時間11月24日の7時40分頃から約2分間。「人類が南極で見る初めての皆既日食であり、南極から日食を中継するのは人類初」(ライブ!ユニバース会長の尾久土正己氏)という。この時期の南極は1日中太陽の沈まない白夜にあたり、太陽が低い位置にあるため地平線を這うように欠けた太陽が移動していく様子が見られるとのことだ。
南極から中継を行う市川雄一氏 | |
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南極からの中継は同団体のメンバーである日本通信機の市川雄一氏が1人で行う。11月2日に日本を経ち、南アフリカから船で観測地に向かうという。航海の途中では様々な島に立ち寄り、南極の動植物などを写真・文字・音声でレポートする。その頃の南極の気温は約マイナス10度、撮影機材は約100キロというが、「今より少しでも太陽・地球・月の位置がずれていたらこの日食は見られない。奇跡的な配置によって日食が起こっていること、ひいては自分たちや世界の存在が奇跡的なものであることを伝えていきたい」(市川氏)と意欲を見せる。
ライブ!ユニバースは1997年より日食をネット中継する「ライブ!エクリプス実行委員会」やしし座流星群の中継を行う「ライブ!レオニズ実行委員会」として個人のボランティアを中心に活動を行っている。それまではイベントごとに実行委員会を設立する形を取っていたが、2002年の5月より定常的な団体として活動を続けているという。
11月4日にオープン予定のサイト (クリックすると拡大します) | |
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中継には国際衛星通信サービスのインマルサットを利用する。デジタルビデオカメラで撮影した画像はモバイルアクセスルータを利用して日本に送信され、国内でエンコーディングされて世界中に配信される。また、放送局や研究所を対象に高画質なハイビジョン映像のネット配信実験も行う予定という。
今回の中継に関しては、松下電器産業やシスコシステムズなどが機材を提供する。その他の協賛企業としてはスクウェア・エニックス、三菱電機、NTTコミュニケーションズなどが名を連ねている。
11月24日は日本では祝日にあたるため、ライブ!ユニバースでは600万件ほどのアクセスがあるのではないかと見込んでいる。今回の南極での皆既日食はNHKでも放送されるが、尾久土氏は「絶対的な差としては、我々が観測する地点のほうがNHKの地点よりも先に日食が始まる」と笑わせた後、「我々は世界中に同じ映像を届けられる。これまで世界各地で日食を中継した経験を生かし、NHKには負けない」と自信を見せた。
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