地球は平らではないが、どうも宇宙はそうらしい。
天文学のデータ、コンピュータグラフィックス、さらに最先端の学問分野「conformal geometric algebra」のおかげで、研究者たちは宇宙の形状をこれまで以上にくわしく理解しつつある。米国時間28日に、米国計算機学会(ACM)主催のCG学会「SIGGRAPH 2003」で基調演説を行ったケンブリッジ大学教授のAnthony Lasenbyはそう語った。
「現在、宇宙はほとんど平面に近い形である。我々はもう少しで宇宙の全体構造を把握できるかもしれない」(Lasenby)
同会議は、3次元(そして4、5次元)の世界を、計算式を使って再現する新技術の概要を明らかにする目的で開かれている。
すでにコンピュータグラフィックスは、かなり現実に近いレベルに達しているが、まだ研究の余地が多く残されている分野の1つだ。過去に多くの科学者が、水や木々、その他の自然現象が、なぜそのように見えるのかを説明しようとしたが、それには複雑な作業と莫大な数の計算を要するため、誰もが匙を投げてしまったていた。しかし、今やコンピュータの処理能力が向上したおかげで、光のパターンや物理的な動きを理解し、さらにそれをシミュレーションすることが可能になった。
現在、一部の研究者たちがコンピュータグラフィックの基本構造を変える可能性を模索しており、これが将来さらにリアルなシミュレーションの実現につながるかもしれない。Microsoft Researchでグラフィックを研究するCGの先駆者、Jim Blinnによると、「現在のCGは3次元の物体やその表面を三角形に切り刻む方法で作成されている」という。 Blinnはいま、コンピュータに滑らかな表面を滑らかな表面として扱わせる方法の開発に取り組んでおり、これに成功すれば何千もの三角形を組み合わせて滑らかな表面を作り出す必要がなくなる。
滑らかな表面を描写するための計算式はすでに存在しているが、しかしBlinnはその複雑な公式を、現在のハードウェアでも簡単に処理できる計算にまで単純化する方法を見つけようとしている。最終的には、滑らかな表面を再現するための計算と、従来のポリゴンによるレンダリングが組み合わされて使われるようになるかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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