2社の新興データストレージ企業が今週、簡単にデータ容量が増やせ、最低限の手間でファイルを管理できるようにする製品の発売を計画している。
米Isilon Systemsは、ネットワーク対応ストレージデバイスでデジタルコンテンツ企業をターゲットにする一方、米PanasasはLinuxクラスタを運用する組織に焦点を絞っている。
調査会社米Taneja Groupの創業者、Arun Tanejaによると、両社がニッチ市場に焦点を絞れば、NAS(Networked-Attached Storage)デバイス市場全体が飽和状態になるのを防げるかもしれないという。NASマシンは、ネットワーク上でファイルサービスを提供する専用のコンピュータだ。
「5社もの企業が同じ分野で衝突するのは、業界にとっていいことではない」(Taneja)
Tanejaによると、米Spinnaker NetworksもNAS製品を扱う比較的新しい会社だが、同社は米Network Applianceといっ大手企業も参入する、もっと広範囲の市場をターゲットにしている。
市場調査会社の米IDCによると、昨年のNASマシンに対する支出額は、13.8%減の15億4000万ドルに落ち込んだという。だがIDCの予想では、市場は今年17億7000万ドルまで回復し、2007年には31億7000万ドルに達するという。
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ワシントン州シアトルに本社を置くIsilonは、Isilon IQという製品を発表する。同社によると、この製品は多数のストレージデバイスモジュール間に分散されたファイルシステムをベースにし、基本的にはこれらを接続して単一ストレージを作り出すものだという。モジュールには、それぞれ1.44 テラバイトの容量を持つハードディスクが入っている。Isilonによると、この製品で重要なのは、別のモジュールを30秒以下で簡単に追加できる機能だという。さらに、容量が増えると、ユーザーが操作しなくても「AutoBalance」機能が、自動的に内容を再分散してくれる。
Isilonによると、同製品はエンターテイメント、デジタルイメージング、そして医療といった分野で一般的なビデオ、オーディオ、写真、グラフィックなどの大容量ファイルを管理するのに最適だという。Isilonでは、米Paramount Digital Entertainment、米Technicolor、ワシントン州立大学メディカルセンターといった顧客を既に獲得している。
Paramount Digital Entertainmentの番組/制作担当バイスプレジデント、David Baronは、3ノードのIsilon IQデバイスを使い、Paramountのテレビ番組ライブラリを活用した新製品の制作を支援している。BaronがIsilon製品に魅力を感じたのは、これがビデオファイルの保管に特化していて、共有が可能だったためだ。Paramount Digital Entertainmentでは標準的なNASハードを使っていたが、大容量ビデオデータの処理にもっと適したものを探していた。
Isilonの設立は2001年だが、このIsilon IQが同社初の製品となる。同社はSequoia CapitalやAtlas Ventureなどから2340万ドルの出資を集めている。
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一方、カリフォルニア州フリーモントに本社を置くPanasasの製品、ActiveScale Storage Clusterは、Linuxクラスタを採用する生命科学、政府、そして石油やガスといった業界をターゲットにしている。同製品は、「StorageBlades」と、サーバコンピュータとStorageBladesの処理をコーディネートする「DirectorBlades」とで構成されるモジュラー式のハードウェアを利用している。
Panasasによると、ActiveScale Storage Clusterはネットワーク上ではNASデバイスのように見えるが、採用しているアーキテクチャはLinuxクラスタを真似た珍しいものだという。Linuxクラスタは、Linuxオペレーティングシステムの動作する多数のサーバコンピュータをリンクして計算処理能力を向上させている。Panasasによると、同社の製品はストレージデバイスからLinuxクラスタへのデータパスをパラレルで提供し、同じようなコンフィギュレーションを持つ従来のNAS製品よりも大幅に高速なデータ転送レートを実現しているという。
Panasasによると、同製品のカギを握るのが、データを従来の固定サイズブロックではなく、可変サイズの「オブジェクト」として見ることのできるファイルシステムだという。このデータオブジェクトは、ファイルに連動して拡大する。Panasasによると、このオブジェクト式アプローチにより、ユーザーが介入することなくアプリケーションが多くのディスク容量を想定できる単一データストレージが実現するという。
Tanejaによると、Panasasと他社とを差別化しているのが、オブジェクト指向のアプローチだという。
「私の知る限り、この基本技術を利用し、これをNASに応用している企業はない」(Taneja)
Panasasの話では、ブレードが新たに追加されると、同社の製品もIsilon IQと同じようにシステム上のデータのバランスを自動的に見直してくれるという。
Panasasによると、ロスアラモス国立原子力研究所やカリフォルニア州立大学バークレー校統合ゲノミクス研究所などが、同社の顧客になっているという。
ActiveScale Storage Clusterは、1999年に設立されたPanasasにとって初めての製品となる。同社は、Mohr, Davidow Ventures、Carlyle Venture Partners、そしてIntel Capitalなどから7200万ドルの出資を集めたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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