2003年第2四半期の世界のストレージ市場は、全体の収入は落ち込んだものの、ネットワーク接続型ストレージシステム市場は拡大したことが、市場調査会社米IDCの調べで明らかになった。
IDCが5日(米国時間)に発表したレポートによると、世界のネットワーク接続型ストレージシステム市場の総収入は、前年同期比7.5%増の17億8000万ドルだった。一方、ストレージ市場全体の収入は、前年同期の480億ドルから3.9%減の47億3000万ドルだった。
一般にストレージはサーバに直接接続されるが、コンピュータ業界は、ストレージをより多くのコンピュータ同士で共有できるネットワーク接続型ストレージに徐々に移行しつつある。複数のコンピュータでストレージを共有することにより、企業は利用可能なストレージ容量の中の、より大きな部分への迅速なアクセスが可能になる。また、プライマリーストレージシステムと遠隔地に設置されたセカンダリーシステムとの間でデータをミラー化するといった、高度なデータ保護機能を利用することも可能だ。
ネットワーク接続型ストレージは、さらに大きく、ネットワーク接続ストレージ(NAS)とストレージエリアネットワーク(SAN)の2つのカテゴリーに分類される。NASは、ネットワークに接続されたファイルの保存が可能な別々の記憶装置のような働きをする。一方SANは、ネットワークを利用するが、1台のコンピュータの中でその中に構築されたもう1台のハードドライブのような役割を果たす。IDCによると、2003年第2四半期の世界的NAS市場の規模は、前年同期比8%減の3億6000万ドルだったのに対し、SAN市場は12.2%増の14.2億ドルだった。
IDCによると、ストレージ市場全体は縮小したものの、北米市場は逆に2期連続で拡大した。この拡大は、同市場が回復傾向にあることを示唆しているが、この傾向は広範囲に及ぶことはないだろう、というのがIDCの研究員たちの見方だ。
ストレージ市場全体で見ると、同四半期の売上げトップは米Hewlett-Packardで、同社の売上額は、市場全体の総売上げの26.7%に当たる12億6000万ドルだった。
第2位はIBMで、世界全体で9億6700万ドルの売上げを記録した。同社はSAN市場で前年同期比46.3%増の1億9800万ドルの売上げを記録し、そのおかげで同社の総収入も前年から10.2%増加した。
第3位のEMCの売上げは、前年同期比6.9%減の6億200万ドルだった。昨年ネットワーク接続型ストレージ部門で売上げトップだったEMCは、今期、売上げを前年同期比9%減の4億8900万ドルへと下げたものの、トップの座は守った。
第2四半期に出荷されたストレージの総容量は、前年同期比36%増の181.6PB(ペタバイト:1PB=約100万GB)だったにも関わらず、世界におけるストレージ市場の総収入は減少した。この容量と売り上げ金額の開きは、ストレージの容量単価が下落し続けていることを物語っている。
今回のIDCの調査では、最低3枚のディスク、それらを制御するためのハードウェア、さらにハードを接続するためのケーブルを備えたストレージシステムが調査対象となった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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