市場調査会社の米ABIが16日(米国時間)に発表したレポートによれば、ブロードバンドワイヤレスアクセス機器の売上額は、新しい業界標準が登場する2008年までに150億ドルに達する見込みだという。
WiMax、あるいはIEEE 802.16として知られるブロードバンドワイヤレス標準の承認は、期待される売上増加への原動力となるものだ。そして、IEEE 802.20技術の標準が定まれば、他の業界の売上も押し上げると、ABIのリサーチディレクターEdward Rerisiは説明する。802.20はモバイルワイヤレスの標準技術であり、WiMaxは固定無線技術(FWA)の標準である。
これらの標準は、通信時の干渉を減らすことで、インターネット接続を改善すると謳われている。これまで、ワイヤレスブロードバンドの信号は、茂みから橋まで、あらゆるものに妨害される可能性があった。
「(ワイヤレスブロードバンド用の)設備投資の伸びは、携帯電話のそれと比べるとかなり小さいが、今後は非常に大きなものとなるだろう」(Rerisi)
成長の大部分は、WiMax関連機器への設備投資からくるみられている。802.20準拠の機器は、2006年まで出揃わないからだと、同氏はその理由を説明している。
たとえばベースステーションなど、WiMaxインフラのための設備は、今年から出荷がはじまった。これらの機器は平均価格が3万ドル程度で、半径30マイルの範囲で通信が可能。ユーザー向けのモデムは、今年中か来年初めに出荷がはじまり、価格は400〜500ドルになると見られている。 Rerisiによると、 1つのベースステーションで、数百台のモデムに電波を提供可能という。
Rerisiによれば、ブロードバンドワイヤレス向けの機器を扱う業界は、向こう5年間で150億ドル規模に成長する。アジア太平洋地域は売上のおよそ半分を占め、北米が14%で、南米がそれよりもやや下回ることになるという。昨年のブロードバンドワイヤレス設備に対する投資金額は取るに足らないものだったが、その理由は802.16がちょうど承認されたばかりだったからだとも付け加えた。
北米ならびにアジア太平洋地域では、個人ユーザーと中小規模のビジネスユーザーが大部分を占めるいっぽう、南米地域では個人ユーザーが大部分になると、同氏は説明した。
ブロードバンドワイヤレス機器を購入するこれらのユーザーは、ほとんどがDSLやCATVによるネット接続サービスを利用できない地域に住む者だが、将来はT1回線を持ちつつ、バックアップとしてのブロードバンドワイヤレスアクセスの利用を考えている、大企業のようなユーザーも出てくるだろうとRerisiは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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