NECエレクトロニクス代表取締役社長の戸坂馨氏は10月9日、CEATEC JAPAN 2003において講演し、IDMモデルと呼ばれる垂直統合型の半導体ビジネスモデルの復権を訴えた。
IDM(Integrated Device Manufacturer)モデルとは、半導体の設計から製造まで全てを自社で行うビジネスモデルのこと。日本の半導体ビジネスの全盛期であった1980年代は、IDMモデルが主流だった。しかし1990年代以降は設計と製造を水平分業するファブレス/ファウンドリモデルが台頭し、日本の半導体企業は窮地に立たされた。ファブレスは自社に生産設備を持たず設計や販売だけを行う形態で、例としては米Rambusや米Xilinx(ザイリンクス)などがある。一方、ファウンドリは生産を専門に受け持つ形態を指し、台湾のTSMCやUSCなどがある。
戸坂氏はIDMモデルが復活する理由として、インテグレーション技術が重要になっている点を挙げる。現在製造プロセスは90nmが主流となってきており、今後も微細化が進むほど、1つのLSI上に様々な機能を集積するのが難しくなる。そこで、設計から量産までのあらゆるパラメータを社内で共有し、最適化を図れるIDMモデルが有効だというのだ。「IDMの強みは全体最適で問題を解決できることにある」(戸坂氏)
NECエレクトロニクス代表取締役社長の戸坂馨氏 | |
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IDMであればプロセス開発からデバイスやライブラリの開発、回路設計、量産化までを全てSCMでつなぐことで、信頼性の高い製品を安定的に、しかも短いリードタイムで供給できると戸坂氏は語った。
ただし、全てを自社だけで行うわけではないとも戸坂氏は強調する。NECエレクトロニクスでは顧客のニーズに合わせ、最適なパートナーとアライアンスを組んでいく方針だ。
「汎用半導体の歴史の中では、まず製品があり、そこからビジネスを考えていた。しかしシステムLSIのビジネスは、(顧客の用途に合わせて設計するため)顧客が何をしたいかを考えざるをえない」(戸坂氏)と話し、顧客中心の発想が重要だと語る。
様々な顧客のニーズに応えるためには、「技術セットを先行開発して提供しないと間に合わない」(戸坂氏)と語り、「アプリケーションに適したパートナーと協力してソリューションメニューを提供していく」とパートナーとの協業を繰り返し強調した。
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