米Microsoftは先に、無料で提供しているチャットルームの閉鎖を発表したが、同社はその理由としてスパム業者やポルノグラファーの問題を力説していた。だが、アナリストによれば、顧客を自社の有料サービスに誘導しようとしている同社にとって、チャットルームの閉鎖が利益につながる可能性があるという。
Microsoftは、MSNユーザーに対し、10月14日付けで閉鎖となる世界28カ国のチャットルームの代わりに、同社が無料で提供しているIMサービス、MSN Messengerの利用を薦めていると語った。
同社では、今回の決定にはいくつかの利点があると主張しており、例えば、無料チャットルームの管理・監督費用の削減や、またチャットルーム閉鎖の影響を受ける欧州、アジア、アフリカ、そしてラテンアメリカの一部の地域での、MSN Messengerの知名度の向上などを挙げている。そうして、Microsoftが将来IMを有料化した際には、このことが収益拡大に役立つ可能性がある。IMの有料化は時間の問題だと、複数のアナリストが指摘している。
「MSN Messenger自体は有料サービスではないが、Microsoftが有料サービスでやりたいと考えていることに現在一番近いのが、このIMサービスだ」と、米Directions on Microsoftのアナリスト、Rob Helmは述べている。
競合する米America Onlineや米YahooのIMサービスと同じく、MSN Messengerにも、ネットワーク上で仲間とお喋りを楽しむユーザーが、世界中に数百万人もいる。IMサービス自体は無料だが、サービス提供者にとっては広告収入を生む媒体となっており、さらに重要なのは、IMのおかげでユーザーが自社のネットワークにある他のサービス使い続けるという点だ。
だが、MicrosoftにとってのIMの重要性はさらに大きい。同社では、今年中に、Live Communications Server(LCS)を発売する予定で、セキュリティ機能とメッセージ保存機能を備えたIMを求める企業に向けて、この製品を売り込む計画だ。
LCSは、当初はIMだけを提供するが、将来はネット電話とテレビ会議機能も、このソフトに統合する計画だと、Microsoftの幹部は述べている。同社では、企業がさまざまなリアルタイムのコミュニケーションすべてを、このサーバ製品1つで管理するために、それを購入してくれることを期待している。
Microsoftでは、LCSを利用する顧客とMSN Messengerのユーザーが、メッセージをやりとりできるようにするだろう。そうすれば、MSN Messengerのユーザーが増えるほど、LCSも便利さが増していくことになる。
それでも、チャットユーザーをIMへ乗り換えさせるのは、自社のネットワーク内からウェブの暗部を取り除くための有効な方法だ。MSN Messengerでは、最高15人の相手とチャットでき、招かれざるゲストからは見つかりにくい会話の場を提供する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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