「来年には国内市場向けにLinuxベースの携帯電話を出したい」---NECモバイルターミナル事業本部モバイルターミナルソフトウェア開発本部グループマネージャーの前田幸二氏は9月19日、幕張メッセで開催中のWPC EXPO 2003で講演を行い、Linuxを搭載した携帯電話の販売目標時期について明らかにした。
NECは現在、第3世代携帯電話にLinuxを搭載するべく開発を続けている。前田氏によると、すでにLinuxを携帯電話に搭載するための要件策定は終わっており、現在はLinuxベースのソフトウェアプラットフォームの試作段階にあるという。今年1月にNECが出したNTTドコモ向け機種『N2051』をベースに試作を進めており、「機能はほとんどインプリ(実装)が終わっており、課題を洗い出しているところ」(前田氏)。ただし、来年以降のFOMAには505iシリーズ以上の機能が搭載されることから、商用化にはもう少し時間がかかる見込みだ。
Linuxを搭載した携帯電話は、すでに米Motorolaが台湾で販売を開始している。NECもMotorolaと同じく、MontaVista SoftwareのCE用Linuxを採用し、同社と協力しながらカーネルの改良を進めているという。
NECは、この開発で得られた成果を広く公開していく考えだ。携帯電話向けにカスタマイズしたソースコードをGPLの下で公開するだけでなく、NECが開発したプラットフォームのAPIも公開する。これにより、端末の対応アプリの開発をサポートしていくとしている。
Windows CEやSymbianでは差別化できない
NECモバイルターミナル事業本部モバイルターミナルソフトウェア開発本部グループマネージャーの前田幸二氏 | |
前田氏によると、NECがLinuxを採用したのは、携帯端末の高機能化に対する通信事業者からの要求に応えるためだという。「高機能端末の要求に対し、今のソフト開発体制ではお金も人も追いつかない」(前田氏)。パソコンに利用されるような高機能OSを利用することで生産性を上げ、開発の効率化を図ることが狙いだ。
「NECはソニーや松下電器に比べて小さいものを作るのがあまり得意ではない。しかし通信事業者の要求を満たすことができれば、NECとして差別化ができるのではないかと考えた」(前田氏)
さらに前田氏はWindows CEやSymbianでなくLinuxを採用したことについても触れ、「Windows CEやSymbianはひな型としてあるもの(ミドルウェアなど)をそのまま使うとすぐに(対応端末が)作れるが、カスタマイズがしにくく差別化をするのが難しい。逆にLinuxは極端に言えばカーネルしかないので、自分たちで他の部分を作らなくてはいけないが、その分自由にカスタマイズができる」とLinuxの利点を説明した。
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