「ユーティリティコンピューティング」に認識のズレ:米調査

 「ユーティリティコンピューティング」というを言葉を何かと耳にする機会が増えている。だが、そうした話題性とは裏腹に、顧客となる企業の側では、必要なコンピュータ資源がネット経由で供給されるというモデルへ切り替えることに、それほど乗り気でないことが、最近実施された調査でわかった。

 米調査会社のForrester Researchが実施した、IT企業88社の経営幹部を対象にした調査によると、ほとんどの企業が、ユーティリティコンピューティング技術の使い道として、社内のデータセンターにおける活用を望んでおり、社外のプロバイダーが提供するサービスをレンタルで使うことには興味がないことが明らかになった。その結果、ユーティリティコンピューティングの波にうまく乗れるのは、アウトソーシング事業者やSI企業よりも、むしろハードウェアおよびソフトウェアのシステムを販売する企業である、と同社のレポートはまとめている。

 ユーティリティコンピューティングとは、企業に対してコンピュータ資源を電気や水道のように供給しようという考え方。各企業は、必要なときに必要な分だけコンピュータの処理能力を買い足せることから、コスト削減が可能になり、既存の社内リソースをより効率的に利用できるようになる。

 業界大手の米Hewlett-Packardや米IBM、米Sun Microsystemsでは、すでに各社独自のユーティリティコンピューティングや"オンデマンド"コンピューティングに関する取り組みを行っている。需要に応じて各種リソースをプールしたり、自動的にサーバ、ストレージ、ソフトウェアなどの資源を割り当てたりできる管理ソフトウェアが各社から登場し、企業が自社のデータセンターなどをより効率的に活用できるようになっている。

 しかし、ユーティリティコンピューティングを「有機的なIT」と呼んでいるForrester Researchでは、あたかも電気や水道のようにアウトソーシングを適宜利用してもらいたいというIT業界側の目論見と、顧客企業の求めるものとの間にはズレがあると指摘している。

 同調査会社によれば、ITインフラの見直しの際に、IT部門を外部業者に委託するアウトソーシングサービスを利用したいと述べた企業はわずか16%に留まり、84%が外部からのサービスの支援もしくは社内の人材を使いつつ、自社システムを独力で構築したいと回答している。

 また、この調査結果によると、各企業は社内のシステムに利用量に応じた課金の仕組みを適用したいと考えているようだ。66%の企業がITインフラへの投資方法として、利用量に応じた課金もしくはリースを選択したいと回答したのに対し、従来型の先行投資を続けると回答した企業は34%だけだった。

 使った分だけ支払うという分かりやすい課金方式の実現は、IT業界における今後の大きな課題だと、Forrester ResearchのアナリストFrank Gillettは述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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