幕張メッセで開催中のWPC EXPO 2003において、9月18日、NTTドコモiモード事業本部iモード企画部長の夏野剛氏とKDDI執行役員 ソリューション事業本部コンテンツ本部長兼コンテンツ企画部長の高橋誠氏が登場し、それぞれの現状を紹介すると共に、今年後半に出される新端末の内容の一部を明らかにした。
講演では両者とも、まずは自社の契約数が順調に伸びていることを紹介。夏野氏によると、6月に販売を開始した505iシリーズが9月16日時点で335万契約に達したという。さらに、504iユーザーが1009万人となり、Java対応ユーザー数は全部で1978万人となったとした。
一方のauもドコモを順調に追いかけている。高橋氏は2003年度におけるauの単月純増シェアが4、5、6月に続き、8月も首位になったことを紹介。「7月はドコモの安売り商戦にやられたが、8月はまた盛り返している」(高橋氏)。また、第3世代携帯電話のCDMA2000 1xの契約数が9月16日に1000万件を突破したと話し、好調ぶりをアピールした。
auのビジネスでもう1つ好調なのが着うただ。着うたはダウンロードする度に課金される都度課金方式を採用している。コンテンツの課金方式を全て月額課金にしているドコモとは戦略が大きく異なるが、この点について高橋氏は「レコード会社が自分たちの価値観によってコンテンツの価格を決めることができる」とメリットを強調した。さらに、コンテンツプロバイダは新たなビジネスチャンスを探していると指摘し、「例えば森山直太郎の『さくら』は着うたで40万件のダウンロードがあった。近いうちに着うたでミリオンセラーが出るだろうと言われている。100万ダウンロードで1曲100円なら、十分新しいビジネスと言えるのではないか」と話し、着うたがコンテンツプロバイダにとって大きなビジネスになるとアピールした。
au はGPSを利用した“人ナビ”に注力
KDDI執行役員 ソリューション事業本部コンテンツ本部長兼コンテンツ企画部長の高橋誠氏(左)とNTTドコモiモード事業本部iモード企画部長の夏野剛氏(右) | |
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今年秋以降に出てくる新サービスについては、両社ともあまり多くを語らなかったが、auはGPS機能を利用した“マン(人間)・ナビゲーション”のサービスを提供することを明らかにした。端末が30分から1時間おきに自動的に位置演算を行う自律測位という方法を採用する。これにより、即座に自分の位置を計測することができるという。また、誰でも簡単に使えるよう、音声によるナビゲーション機能も搭載した。「目的地に着くとカーナビと同じように『目的地に到着しました。お疲れ様でした』という音声が携帯から聞こえてくる」(高橋氏)
また、auでは今後全ての端末をBREW対応にすると表明している。このことについて高橋氏は「Javaに限界を感じたため」と説明する。Javaではソフトの立ち上げが遅く、ユーザーの要望に応えられないのだという。「高額のチップを利用すれば立ち上げ速度も速くなるが、それでは安価な端末が提供できなくなってしまう」と話し、「Javaを採用したのは方向性を誤った」(高橋氏)とまで言い切った。今後は2チップ搭載端末や初期のEV-DOなど、一部の端末では引き続きJavaを搭載するが、来春以降の端末は全てBREW対応に変えていくという。
「最強のFOMA」が登場---NTTドコモ
一方、ドコモは端末の進化について、「コンテンツが揃った上で、ユーザーに使ってもらえるようなタイミングを狙う必要がある」と慎重な姿勢を示す。「メーカーの人たちと話していると、とことんまで端末を進化させようとする。特にこの傾向は年配の人に強い。しかしそれではユーザーには使ってもらえない」(夏野氏)。Bluetoothなど今まで普及すると言われながら、なかなか利用者に浸透しない技術は数多いが、「技術がダメだったわけではなく、コンテンツが揃っていなかったり、ユーザーインターフェースが悪かったことが原因だ」と指摘し、技術だけが先走ってしまうことへの警戒感を示した。
秋以降に発表される予定のFOMAについては、「今度のFOMAはiモードの上位機種になる」(夏野氏)として、従来の戦略を転換したことを説明する。「今までは、スピードの速さとパケット料金の安さならFOMA、アプリケーションを取るなら50xシリーズといったように、両方の良さを満たすものがなく、ユーザーはどちらを買うべきか悩んでいた。しかし今度のFOMAは505iのアプリケーションをベースにしたものを506iシリーズの前に出す」と話し、「スピード、パケ代、アプリケーション、どれをとっても最強のFOMAになる」(夏野氏)と自信を見せた。
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