ワイヤレス、モバイル専門の展示会であるWireless Japan 2003が7月16日から東京ビッグサイトで始まった。初日の16日の基調講演にはKDDIとJ-フォンの社長が基調講演を行い、それぞれの第3世代(3G)携帯電話に対する戦略を語った。
先に登場したのはKDDI代表取締役社長の小野寺正氏。KDDIは2002年4月より、CDMA2000 1x方式による3Gサービスを展開している。
小野寺氏は、「(W-CDMA方式を採用している)NTTドコモの立川社長はCDMA 2000は本当の意味での第3世代携帯とは言えないというが、国際的にCDMA 2000は第3世代として認められている」とドコモをけん制する。さらに「大事なのは通信方式がどうということではなく、お客様にどんなサービスが提供できるかと言うことだ」(小野寺氏)と語り、通信方式の違いがビジネスの鍵を握るわけではないとした。
パケット利用量ではすでにauがドコモを上回る
KDDI代表取締役社長 小野寺正氏 | |
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また、利用者1人当たりのパケット量では、すでにauがドコモを上回っていると小野寺氏は言う。現在auのEZweb利用者の場合、1日の平均利用量は1人当たり約400パケットといい、1年前に比べて倍近くに伸びているという。ドコモのi-modeでは1人当たりの1日平均利用量が約250パケットであるというグラフを紹介しながら、小野寺氏は「パケットを使ってもユーザーが負担感を感じない程度の料金でなければこうはならなかった」と分析。今後携帯電話が高機能化するのに伴って、パケット料金の問題はますます大きくなると指摘した。
着メロ、着うたの次は「着CM」
EZwebの成功コンテンツとして小野寺氏が紹介したのは、着信を楽曲で知らせる「着うた」サービスだ。通常の着メロでは楽曲使用料が作曲家にしか払われないが、着うたならレコード会社に使用料が支払われるため、レコード会社が着うたに対して積極的に取り組んだ。これが着うたが成功した理由だと小野寺氏は説明する。
さらに小野寺氏は「着うたのような新しいビジネスモデルをいかに作るかが問題」と語る。そこで出てきたのが、動画配信サービスのEZムービーだ。小野寺氏によると、「EZムービーを着メロや着うた代わりにしようという発想が出てきている」という。着信時に楽曲が流れるだけでなく、キャラクターが踊るといった新しいサービスがすでに出てきているというのだ。さらに、「着メロや着うたは基本的に有料だが、今後は着信時にCMが流れる代わりにダウンロードは無料、といった新しい広告、新しい市場が生まれる」と期待をにじませた。
BREWの登場で特定法人向けの携帯アプリケーションも
小野寺氏は現在auが導入をすすめるQualcommの携帯用アプリケーションプラットフォーム「BREW」にも期待を寄せる。小野寺氏はまず、現在の携帯電話を「パソコンで言うなら8ビットの世界」と指摘。これは、OSやアプリケーションとハードウェアが1対1で対応しており、新しいアプリケーションを利用するためには新しい端末を購入しなくてはならなかった点を指しているという。小野寺氏はWindowsの登場によってOSと端末が切り離されたことを例に挙げ、同じことを携帯電話で行うのがBREWだと語る。
BREW上では現在、ゲームなどのアプリケーションがよく利用されているが、今後はむしろ各企業専用の法人アプリケーションが出てくると小野寺氏は見ている。「今まで特定企業に向けた法人用のアプリケーションが開発できなかったのは、端末自体を作り変えないとアプリケーションが乗せられなかったため」と小野寺氏は語る。1つの企業で同じ端末を数十万台規模で購入するのはむずかしく、コストもかかってしまう。しかしBREWによって端末とアプリケーションを切り離すことができれば、法人専用のアプリケーションの開発も可能になるというのだ。
小野寺氏は「携帯電話の加入者数は、個人利用に限れば9000万台程度が限界。新たな使い方が必要」と語っており、BREWによってデータ通信の法人利用が進むことに期待を示した。
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