米Microsoftは、同社のマルチメディア技術Windows Media Series 9を、ビデオ圧縮の標準候補としてハリウッドに提出するという驚きの決定を行なったが、これによってWindows Media Series 9をインターネット以外にも普及させようという同社の野望が浮き彫りとなった。
Microsoftは先週、同社のWindows Media Series 9ビデオ圧縮コーデックを、映画テレビ技術者協会(SMPTE)に送り、承認のための調査を依頼した。Microsoftにとって、自社のマルチメディア技術を業界団体に提出するのは初めてのことで、自社技術をプロプライエタリとするとの方針を長年維持してきた同社としては、大きな方向転換となる。Microsoftはこれにより、衛星放送やケーブルテレビ、ビデオ編集システム、DVDなどのベースとなっている圧縮標準、MPEG-2の後継規格として、Windows Media Series 9を利用できるようにしたいと考えている。
Microsoftは8日に同技術をSMPTEに提出したが、このことを正式発表したのは12日だった。また同社は12日、Windows Mediaに関する新たな提携を多数発表している。発表は、アムステルダムで開催された「International Broadcasting Convention」(IBC)で行なわれた。
SMPTEがWindows Media Series 9を標準として承認すれば、セットトップボックスやプロ用ビデオ編集機器、衛星放送、家電機器など、幅広い用途で同技術が事実上標準として使われるようになる、とMicrosoftは期待している。なお、利用方法がさまざまに異なるため、SMPTEメンバーは自分の好きな技術を自由に採用してよいことになっている。
今回の動きで重要なのは、Microsoftが、競合するRealNetworksと比べ、ビデオ配信技術への足掛かりがまだない、ワイヤレスなどパソコン以外の業界で、技術標準団体に初めて働きかけを行なったことだろう、と業界ウォッチャーらは話している。SMPTEによる調査プロセスを経ることで、Microsoftは、パソコン業界以外のパートナーに自社コーデックを販売する上で、重要な信用を得ることになる。
「Microsoftは同社の重要技術をSMPTEに提出して、それがビデオエンジニアらにMPEG-2の代替技術として採用されるかどうか見ることにしたのだ」と、調査会社The Envisioneering Groupのディレクター、Richard Dohertyは述べている。
「Windows Media 9 Seriesは、Microsoftが望んだほど多くのシステムやエンターテイメント向け製品では成功していない。それに、非常に閉鎖的だという批判が多い。標準としての承認されたことで、どんな反応があるかを見るというのは、賢い戦略だ」と、Dohertyは付け加えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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