ソニーは、同社の音楽部門と映画部門、電子機器部門が密接に連携したプロジェクトの一部として、独自のデジタル音楽配信サービスを来年開始する。同社が4日(米国時間)明らかにした。
ソニーのバイスチェアマンHoward Stringerが、パリでのイベントで発表したこの新サービスは、KaZaAなどのファイル交換サービスによってソニーのエンターテインメント部門が受けた損失に、歯止めをかける狙いがあると見られている。また同サービスは、米Apple Computerの好調なiTunesデジタル音楽店舗のライバルとなる見込みだ。
詳細はまだほとんど明らかになっていないが、今回ソニーが発表したサービスは、同社の家電技術や、プロプライエタリなコピー防止技術などと密接に関わったものとなる模様。Stringerはダウンロードサービスになると述べているが、価格やビジネスモデルについての情報はない。
ソニーのデジタル音楽配信サービスとしては、日本ではソニー・ミュージックエンタテインメントが提供するbitmusicがある。また、米国ではSony Music EntertainmentとUniversal Music Groupの合弁事業であるPressplayがあった。しかしソニーは今年5月、Pressplayを米Roxioに売却している。
AppleのiTunesサービスの時と同様、ソニーのオンライン音楽配信サービスの発表は、単なる音楽販売を超える大掛かりな戦略の一環だ。両社はコンピュータからデジタル音楽プレーヤーに至るまで、デジタルネットワークを張りめぐらせた家庭のなかで重要な要素となるハードウェアを独自に製造し、コンシューマーに娯楽コンテンツを直接提供しつつ、自社ハードウェアへの需要を盛り上げようとしている。
しかしソニーは、エンターテインメントと家電の双方の分野にまたがる、独特の微妙な立場に置かれている。同社は、不正コピーなどの違法行為を恐れる映画部門や音楽部門などに足を引っ張られて、独立系の各メーカーがデジタル音楽プレーヤーの開発・発売に一足先に乗り出していくのを、指をくわえて見ているしかなかった。一方、自社で開発したコピー防止機能つきのプレーヤーは、市場ではほとんど受け入れられていない。
ソニーが明らかにした情報によると、新サービスは、Sony Music、Sony Pictures、Sony Elecronics、Sony Corporation of Americaが共同して、グループ内で開発しているという。これらの部門は、米国内のネットワークサービスのための共通インフラ構築で、これまで協力してきており、新たな音楽配信サービスもこのプロジェクトの一部となる。
同サービスへは、当初はSony Musicがコンテンツを提供するが、主な音楽会社はすべて同サービスに参加する見込みだとソニーは話している。Sony Corporation of Americaは、米国内の同サービスを監督する。このサービスは米国とヨーロッパで2004年春に開始される予定だという。
一方、日本では別のサービスが提供される予定だ。ソニーは2003年2月、ケンウッド、パイオニア、シャープと共同でインターネットを介した音楽配信の事業を検討する企画会社「エニーミュージック企画」を設立している。具体的なサービス内容は現在検討中とのことだが、サービス開始時期は欧米よりも早く、「2003年度中のサービス提供を目指している」(ソニー)という。
ソニーによると、同社の電子機器部門は、特にこの音楽サービス向けに設計されたコンシューマー向けの機器を発売するが、他のハードウェア会社に、OpenMGコピー防止機能などのメディア技術や技術インターフェースのライセンス販売も行なうという。同サービスは、携帯音楽プレーヤーやパソコン、その他のオーディオ機器で利用できる、とソニーは述べている。
この新音楽サービス以外にも、ソニーではこの先数年の間にさまざまな新サービスを予定している。同社は、より大規模なネットワーク戦略に力を入れており、ブロードバンド接続されたデバイス全てに配信できるコンテンツづくりに取り組んでいる。ソニーは「ubiquitous value network」と名付けたこの戦略を、数年前から推進しており、ネットワーク接続が可能な製品を開発中だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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