ついに個人ユーザー狙い撃ちに-米RIAA、違法コピー対策で

 米国レコード工業会(RIAA)は米国時間6月26日から、ピア・ツー・ピア型(P2P)ネットワークで音楽ファイルを交換している個人を対象に、大掛かりな違法コピー撲滅戦略を展開すると発表した。RIAAは現在、違法ファイル交換者に関する証拠を収集しており、8月頃からこれらの個人を順次提訴していく構えだ。

 音楽業界は最近まで、米Napsterや米Scour、米Aimsterなど、ファイル交換サービスを提供する企業を対象に、違法コピー対策に取り組んできた。しかし、RIAAが今年初めに、大学のネットワークを利用してMP3ファイルの交換サービスを運営していた大学生4人を提訴して以来、風向きが変わった。被告の大学生は各自、1万2000〜1万7000ドルの賠償金を支払うことで合意している。

 RIAAが今回発表した計画では、小規模なファイル交換サービス運営者だけではなく、ファイル交換をした個人も対象に据えている。RIAAでは「大量にファイル交換した人がターゲットとなる可能性は高いが、明確な線引きはない」と述べており、違法にファイル交換をした人なら誰でも、槍玉に挙げられる可能性がある。

 RIAAによれば、約30人のアーティストがRIAAの方針を支持しているという。また、独立系音楽販売店のオーナーやスタジオのマネージャー、ソフトウェアの反海賊行為団体などもRIAAに賛同している。

 RIAAの動きは、オンライン音楽を扱った2件の訴訟の判決が一部影響している。1件は4月に審理されたもので、GroksterやMorpheusなどのファイル交換ネットワークの運営者は著作権侵害の責任はないという判決が下った。このため、音楽業界はP2Pソフトウェアを利用した個人ユーザーに矛先を向けざるを得なくなった。もう1件は6月初め、米Verizon Communicationsに対し、ファイル交換者4人の身元を公開するよう命令が下ったもの。Verizonはこの判決を不服として上訴し、氏名公開の延期を要請したが、上訴陪審員はこれを退けた。これにより、著作権保持者たちは、P2Pネットワークでファイル交換を行っているユーザーの身元を追求しやすくなった。

 VerizonのバイスプレジデントのSarah Deutschは、「個人情報公開を求める召喚状の手続きには、ユーザーに誤った嫌疑がかからないようにしたり、個人情報を訴訟目的のみに利用することを保証する仕組みが明記されていない」と指摘する。また、今後他の著作権保持者がRIAAを見習う可能性もあり、ISPが著作権に関する論争の板ばさみになること、有罪判決が下っていないユーザーの個人情報公開の費用を負担しなければならないことも懸念材料として挙げた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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