P2P対策ソフトに力を入れる企業各社

 ジョージア州アトランタ近郊にあるPromina Southern Regional Health System病院のネットワークサービスマネジャー、Reid Burchは今年初め、ネットワークスピードの問題を抱えていた。

 アプリケーションの動作が遅く、回線も飽和状態で、同病院は帯域幅の需要を満たすために新しい高価な回線を導入する方向に徐々に進み始めていた。ところがBurchは、電話会社への支払いを行う前になって、米Packeteerという会社の開発したネットワークモニタリングソフトウェアを試すことになった。

 Burchはそこで驚くべき発見をした。Burchがこのソフトウェアを使った最初の18時間で、Kazaaなどのファイル交換サービスが1100回以上も同社のネットワークを利用しようと試みたのだ。さらに驚いたのは、動作が遅いとしていたアプリケーションへの影響だった。Burchは、9時間も要していた日常的に行う重要なデータベース情報の交換作業が、P2Pネットワークがアクティブになっていないときは突然1時間半で終了してしまったことに気付いた。それで突然目が覚めた、とBurchは話す。

 「われわれは、存在するのはわかっていたが、解決の方法がわからずにいた大きな問題を、この時はじめて目の当たりにしたわけだ。それまでは無駄な抵抗を試みていたのだ」(Burch)

 新しいネットワーク/帯域幅モニタリングツールを試している他の企業の場合同様、Burchのシステムに関する悩みも、すべてが院内コンピュータ上の交換ソフトウェアの存在と結びつくものではなかった。しかし、これほど多くのネットワーク上での活動が膨大な帯域幅を占有し、同病院を法的責任を負うかもしれない立場に追い込んでいることは、ますます多くの企業をファイル交換対策に乗り出させている意外な事実だ。

 自社のネットワークをコントロールしたいとい考える企業が抱えるこの需要は、P2Pやウイルスなどの「ゴミソフト」がもたらす災難への解答として、自社サービスを売り込む新世代の帯域幅/ネットワーク管理企業にとって、豊かな市場であることが分かってきている。こうした企業には、Packeteer、米Allot Communications、米AssetMetrixのほか、多数が含まれる。

 これらの企業がファイル交換の世界に初めて参入した際には、大学も一役買っていた。NapsterやKaZaAの人気が高まった'99年後半に、その影響を被ったこれらの教育機関の多くは、ピアツーピアのトラフィックを完全にブロックすることを嫌いつつ、ファイル交換関連の活動を追跡・管理する方法に関して、Packeteerなどの企業を支援した。

 ところが、いまでは、ますます多くの企業がこの問題を認識しつつある。個人のファイル交換者を相手取って間もなく始まるレコード業界による訴訟、RIAA(全米レコード協会)が大企業宛てに送付した一連の警告書、そして著作権で保護されたファイルが見つかった企業宛ての停止命令書が大々的に報道されたからだ。

 ネットワーク管理専門家によると、問題は自分たちが考えるほどPCをしっかり管理していない企業が多いことだという。

 多くの企業には、社内のコンピュータにインストールできるソフトウェアの種類について厳しい規則がある。Windowsオペレーティングシステムの中には、ネットワーク管理者にしかソフトウェアをインストールできないようにするオプションが用意されたバージョンもある。また、構成によっては、自分のハードドライブ上にあるプログラムではなく、ネットワークベースのソフトウェアの使用が要求されるものもある。

 だが、ネットワーク関連の意外な問題はそれでは終わらない。カナダのネットワークモニタリング企業、AssetMetrixが10〜4万5000人の社員を抱える560社の企業を対象に先日実施した調査によると、調査対象の77%で1台以上のコンピュータにファイル交換ソフトウェアがインストールされていたという。

 このような状況は、不意を付かれた企業にいくつかの問題を提起する可能性がある。KaZaAのような新しいファイル交換アプリケーションは、ネットワークから高帯域幅のポイントを自動的に選択して、トラフィック管理やルーティング機能の大半を処理する。高速回線に接続された企業のコンピュータは簡単にその対象となってしまい、これをダウンロードした社員が自分でソフトウェアを使っていなくても、社内ネットワークの帯域幅に大きな負荷がかかってくる。

 PtoP対策のツールを開発する企業では、この問題にさまざまな方向からアプローチしている。AssetMetrixのようなモニタリング/監査企業は、企業ネットワークからPC上にあるすべてのソフトウェアをスキャンし、ファイル交換ソフトウェア、スパイウェア、インスタントメッセージングプログラム、そして企業のハードドライブ上で活動しているすべてのものを見つけ出してくれる。その結果作成されるこれらのレポートは、管理者やコンサルタントが無許可のコードを見つけ出すのに役立っている。

 一方、PacketeerやAllotなどはさらにもう一歩踏み込み、ネットワークを利用しているアプリケーションをスキャンし、それぞれのアプリケーションに割り当てる帯域幅をコントロールする。こうすることで、KaZaAのようなソフトウェアの活動を完全に止めたり、一部の大学が実施しているように帯域幅をわずかだけ割り当てるといったことが可能になる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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