米Intelは、同社が今月開催する「Developer Forum」カンファレンスで、Tanglewoodというコード名の新ハイエンドItaniumチップの詳細を明らかにする。同社に近い情報筋が明らかにした。Tanglewoodでは1片のシリコンに16基ものプロセッサが集積される。
いわゆるマルチコア設計とは、1つのチップ上に複数のプロセッサを集積する技術で、製造プロセスの高度化により実現した大型回路の利用方法として人気がますます高まっている。Intelはこの分野で、他社にやや出遅れてしまった。米IBMのPower4チップでは2つのコアが使用されており、米Sun Microsystemsや米Hewlett-Packard(HP)なども2コアのハイエンドチップを発売予定だ。だがTanglewoodの設計は、それらをさらに上回る性能を持つものと見られている。
「プロセッサの構築にマルチコアを採用するというのは、ムーアの法則を利用する自然な方法だ」とInsight 64のアナリストNathan Brookwoodは言う。
16ものコアを集積する設計は、Intelの将来の計画を垣間見せるものだ。「Intelは、この設計を支えるロードマップを示す必要がある。IBMもSunもロードマップを宣伝している」(Brookwood)。Itaniumは発売当初は障害が多かったが、現在のIntelは、より首尾一貫した新設計をリリースできるようになっている、とBrookwoodは述べた。
ダイと呼ばれる1片のシリコンに複数のプロセッサを集積するのは、現在のItanium 2モデルのような大型プロセッサの場合困難がある。「現行のItaniumでは、高速キャッシュメモリが容積のかなりの部分を占めているが、将来の世代でプロセッサが高速キャッシュメモリを共有できるならば、集積は実現可能だ」(Brookwood)
IntelのItanium製品は、大容量のメモリを取り扱い、処理上の問題がデータを壊さないようにする必要のある、ハイエンドサーバ用の64ビット設計をもつチップで、主な競合相手はIBMのPower製品、SunのUltraSparcシリーズ、そして米Advanced Micro DevicesのOpteronだ。HPは自社のPA−RISCシリーズを徐々に廃止し、Itaniumに移行している。
IntelはItaniumをハイエンド以外のシステムにも導入するため、「Deerfield」というコード名の別のItaniumプロセッサを発売する予定だ。同社に近い筋によると、Deerfieldは9月8日発売予定だという。Intelが7月に発表した製品計画によると、Deerfieldの価格は744ドルで、1338〜4226ドルという他のItanium 2チップの価格帯からは、かなり低く設定されている。
チップが同時処理できる命令スレッド数を増やす技術、マルチスレッディングも、チップ設計者が取り組んでいる課題の1つだ。IntelのXeonやPentiumシリーズには、2つのスレッドを同時処理する基本機能があるが、Intelはサーバチップで処理できるスレッド数を増やしたいと考えている。2004年発売予定のIBMのPower5は、各コアで2スレッドの処理が可能だ。Sunもマルチスレッディング技術を積極的に推進している。現在のItaniumにはマルチスレッディング機能は含まれていないが、情報筋によるとTanglewoodではこの技術が搭載される見込みだという。
Intelの見込みでは、Tanglewoodの消費電力は、現行のItaniumプロセッサの消費電力を超えないという。これは、データの破壊やクラッシュの原因となる過熱を防ぎ、サーバーを設計しやすくするための重要な特徴だ。
Tanglewoodの発売日は不明だが、早ければ、Itaniumのデュアルコアプロセッサ「Montecito」が発売される翌年の2006年にも発売となる可能性がある。Intelは今年と2004年に、現行のItanium 2設計のキャッシュメモリを増量するが、Montecitoには今のところキャッシュメモリ増量の予定はない、と情報筋は述べている。
Tanglewoodは、90ナノメートル工程で構築した4コア設計でスタートし、その後65ナノメートル工程による8コアや16コア設計に移行する可能性がある、とBrookwoodは言う。
2005年発売予定のSunのNiagaraプロセッサは、8コアで発売される予定だ。しかし各コアは、1つの命令「スレッド」を高速処理するための複雑な回路がない、小規模な設計となっている。SunはNiagara発売後、マルチコア設計とスレッド高速処理機能を兼ね備えた、よりハイエンドなマルチコアチップを発売する計画だ。
IntelはTanglewoodのほかに、サーバ用BIOS(基本入出力システム)の新バージョン「Tiano」も発表する。BIOSはコンピュータのなかで最も古く、ほとんど進化していない要素の1つだ。
数年前より複数の企業が、BIOSに代わる仕組み、Extensible Firmware Interface(EFI)の開発に取り組み始めた。Intelの最高技術責任者(CTO)Pat GelsingerはEFI計画を、「皆で、8ビットのスパゲッティコード(古くて難解なプログラム)を新しいものに置き換えよう」との言葉で説明している。TianoはIntelによる初のEFI製品となる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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