LinuxのItanium向けバージョンが米国時間8月4日に重要な節目を越えたと、同OSの開発者が語った。同バージョンのLinuxは、今後Linux開発を率いるLinus Torvaldsの管理する標準ソフトウェアから構築できるようになり、特別なパッチは不要になるという。
「今朝から、Linusの管理する現行(カーネルの)ビルドが、そのままia64で動くようになった」と、米Hewlett-Packard(HP)のプログラマで、Linux-Itanium開発を率いるDavid Mosbergerは、メーリングリストにポストしたメッセージのなかで発表した。この Itanium向けバージョンでは、Linuxの心臓部ともいえるカーネルのうち、Torvaldsの管理する2.5開発バージョンを使用している。Torvaldsの管理するバージョン2.5は、今後数カ月のうちに実際の使用に耐え得るバージョン2.6になると予想されている。
IA-64は、Itaniumプロセッサが理解できるインストラクションセットの旧名称だ。しかし、これらのインストラクションが広く普及している米IntelのPentiumやXeonプロセッサ用のインストラクションセットと異なっていることから、ほかのソフトウェアの場合と同様、 LinuxのItaniumバージョンを構築するにはさまざまな問題があると思われている。
Itaniumは、Intelがローエンド向けサーバで収めた成功を、ハイエンド向けマシンでも再現しようとする取り組み。現在ハイエンド向けの機種では、米Sun MicrosystemsのUltraSparcや米IBMのPower4といったプロセッサが使われている。
だが、TorvaldsはこれまでItaniumに難色を示していた。「IA-64は本当に嫌いだ。勝ち目のない戦略だ」と、Torvaldsは昨年10月に行ったスピーチのなかで述べた。「無意味なことなので、個人的には、IA-64が自然消滅してくれればと思っている。性能はひどいし、おまけに高い。完全に新しいインストラクションセットだ…AMDのアプローチのほうがずっと面白いと思う」。
LinuxのItaniumバージョンを現在販売している米Red Hatや米SuSEのような企業は、何通りかにカスタマイズを加えて販売している。Mosbergerは、性能と安定性の面から、これらのカスタマイズしたバージョンを今後も引き続き使用するよう勧めている。
SunでUltraSparcのLinuxサポートに取り組んでいる、ある有名なLinuxプログラマーは、同じメーリングリストへポストしたメッセージのなかで、自らの体験を踏まえて、プログラマは有頂天になるべきではないと述べている。
「水を差すつもりはないが、多くの会社が専任の人材を雇い、つきっきりで維持にあたらせているプラットフォームとしては、これだけ作業に長い時間がかかったことに、私は失望している」と、Red Hatのプログラマ、David Millerは書いている。「パフォーマンスを高めるには、いまだに外部パッチが必要だという事実には、さらにがっかりさせられる」。
Red Hatでのプログラマー仲間であるAlan Coxは、もう少し穏やかな言い方をしている。そもそもLinuxのItaniumバージョンは、最初から通常のLinuxと恐ろしいほど違っていたと、Alanは説明した。「ia64は、当初から別の方向を目指すべきだったかもしれないが、最終的に落ち着くべきところに落ち着いたということは評価に値する」。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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