米IBMは28日(米国時間)、スイスの多国籍企業ABBと、10年間で11億ドルにおよぶIT業務のアウトソーシングサービス契約を結んだと発表した。
IBM Global Servicesは、欧州および北米のあわせて14カ国にまたがるABBの情報システムのうち、およそ90%にあたる部分の運用とサポートを担当する。この契約で、IBMはABBのサーバ、オペレーティングシステム、社内ネットワーク、PC、ヘルプデスクといったシステム管理業務を引き継ぐことになる。なお、この契約は2001年に両社の間で結ばれた、6億ドルに上る2つの試験的なアウトソーシング契約を基にしたもの。
「この長期にわたる契約により、IBMの専門知識を得つつ、コスト削減が可能になる。これは、ABBとIBMの両社に利益をもたらす契約だ」と、ABBで最高財務責任者(CFO)を務めるPeter Voserは語った。
ABBは、IBMのオンデマンド・サービスに期待をかけている。オンデマンド・サービスとは、使用量に応じて料金が変化するサービス体系で、IBMの話では、今後10年間の削減効果は、年間5000万ドルに達するという。
ABBのIT部門で働いている約780人の従業員は、そのままIBMに移籍となる。それ以外の510人については、すでに試験契約の時点で移籍を済ませている。
このABBにおける新たな契約は、10億ドル単位のアウトソーシングビジネスを獲得できる、IBMの強さを示している。調査会社Gartner Dataquestによれば、同社は2002年に交わされた大型案件のほとんどを手中に収めたという。同社は7つの大型案件を勝ち取り、8番めに大きな契約はソフトウェアサービスプロバイダのKeaneと共同で受注。また、Gartnerによれば、2002年には、合わせて14件の案件を獲得し、受注額は少なくとも284億ドルに上る。なお、2001年には、合わせて9件、額にして151億ドルの契約を受注していた。
IBMは、ITサービスの受注に関しては、今四半期の勝者となりそうだ。7月16日に行った電話会議では、CFOのJohn Joyceが、「通信キャリアのQwest、およびカリフォルニア州政府と契約を締結した。合わせて30億ドルに上るこれらの契約を受注したことで、第3四半期も非常によいスタートを切ることができた」と語っている。しかも、この金額にはABBとの契約は含まれていない。なお、本年度第2四半期における、IBMのサービス契約受注額は、戦略的アウトソーシングをはじめとして、合計107億ドルだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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