調査会社英Datamonitorのアナリストによると、Linuxに対する法的戦いでエンドユーザーをターゲットにした米SCOは、強力な敵をつくりつつあり、法的な反発を予想しておくべきだという。
SCOは今年の3月、知的所有権の侵害を理由に米IBMを相手取って訴訟を起こした。SCOの主張によると、IBMはSCO独自のUNIXコードを不正流用してLinuxに組み込んでおり、これが著作権法違反にあたるという。また、SCO は先週、Linuxを利用する企業に対し、法的措置から自社を保護するライセンスを購入するよう説得することを狙った、ライセンスプログラムを発表している。
Datamonitorが24日(英国時間)に公表した意見書によると、エンドユーザーをターゲットにしたSCOの戦略は、逆効果になる可能性があるという。「Linuxユーザーのなかでも最大の企業は、Linuxを販売するベンダーやサポーターであることを、SCOは忘れてしまっているようだ・・・・。米Oracle、米Dell、米HP、米IBMなど、SCOの著作権侵害の申し立てに対抗するのに十分な資金力を持つLinuxサポーターやユーザーが数多く存在する」(同意見書)
SCOの著作権侵害の申し立てに挑戦し、「SCOに法廷で自らの主張の正しさを証明させる」ことが、Linuxユーザーやベンダーにとっては有利に働くと、Datamonitorは述べている。
最大のLinuxベンダーである米Red Hatは、これまでのところ、SCOに対して報復的な行動を取ることを控えている。だが、自社の顧客を安心させようと、ライセンス取得は必要ないことを説いてまわっている。
Red Hatが先週顧客に送った書簡には、次のように書かれていた。「これまでのところ、UNIXコードが侵害されたことを、公けにあるいは法廷で立証した企業はない・・・。ライセンスの必要性を証明するものは、現時点ではなにもない」。同社はまた、この訴訟に関連して、SCOと直接接触したことはないとも述べている。
米Gartnerが先週、この件について発表した勧告では、もしSCOのライセンスに署名する企業が現れれば、すぐに他社もこの動きに追従するだろうと述べている。同社バイスプレジデント兼リサーチディレクターのGeorge Weissは、「2、3社の大企業」がライセンス価格を交渉するだけで、他社もこの動きに加わるだろうと語った。
そうなれば、「オープンソースとプロプライエタリの入り混じったハイブリッドなソフトウェア契約」が生まれ、Linuxの特定の機能を利用しない限り、同OSはライセンスフリーあり続けるということになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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