IT部門における海外へのアウトソーシングが加速すると、オーストラリアの技術市場は衰退の一途をたどる恐れがあると考えられていることが、IT Manager Australiaによる調査の結果明らかになった。
海外へのアウトソーシング増加によって、国内のIT関連労働市場が縮小し続けるとしたら、就職先を検討中の学生たちにはIT業界でのキャリアを選ばぬようアドバイスするか。ITMのメンバーである業界人たちに、こんな質問が出された。
そして、メンバーの9割以上が、現在の状況を踏まえると、将来性のあるキャリアパスとしてはIT関連の仕事を薦めることができないと回答した。
「我が子には、国内でも世界的にも需要のある看護関連の仕事を選んでもらいたい」と話すJames Michaelsは、ITMメンバーで、シドニーの通信関連企業で働いている。
Michaelsの話では、労働市場ではかなり大きな需給ギャップがあるという。「おそらく飽和点に達してしまったのだと思う。高いスキルを持つ技術者が、あまりにもたくさん失業している。彼らはみんな同じパイを取り合っているか、あるいは残り物の仕事をかき集めているような状態だ」(Michaels)
ITを専攻する学生のなかには、後戻りできない者もいる。「海外へのアウトソーシングを規制する法律でもできない限り、学生たちがIT業界でのキャリアを選ばないということは、ほぼ間違いないと思う。これは、メルボルン大学でコンピュータサイエンスを学ぶ者として、自信を持っていえることだ」と、ITMメンバーのJesse Stratfordは述べている。
「自分もまわりの友達も、海外へのアウトソーシングがますます増えている現状をよくわきまえているし、また多大な関心をもって、その成り行きを見守っている。大企業だけが得をし、そのために高価な学費を支払い、頑張って手に入れた教育が無駄になるとような事態にならなければの話だが」とStratfordは付け加えた。
市場調査会社のGartnerによれば、海外へのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)は、2003年に全世界で18兆ドルに達する見込みだという。これは前年比で38%増にあたる。
Gartnerの報告によると、オフショアBPO市場の66%、すなわち12兆ドル分のビジネスがインドに向かっているという。「最近のインドにおけるオフショアBPOのほとんどは、コンタクトセンターとバックオフィス系処理業務の外部委託だ」と、同社調査部門のバイスプレジデントであるSujay Chohanは述べた。
しかし、悲観はすべて当てはまらない、とITMメンバーの一人は反論する。「海外市場が伸びていることと、24時間体制で行なわれている企業の監視業務とを、明確に区別して考える必要がある」とPeter Hannanは述べる。
Hannanは、多くの例を引き合いにしながら、とりわけ多国籍企業にとって、ネットワーク監視などのサービスを実現するため、海外の拠点を結び、順番に交代しながら、24時間継続した監視体制を整えることは、ごく当たり前の行動だと説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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