米America Onlineは6月30日、クライアント間通信を暗号化するAOL Instant Messenger(AIM)のアップデート版をリリースした。
AOLは、消費者向け新クライアントソフトウェアAIM5.2の新機能で、米VeriSignと提携。暗号化の料金は個人使用では年間9.95ドルだが、AOLは、企業向けにライセンスをまとめて販売することも行なう。
またAOLは暗号化機能の一部として、AIM Enterprise Gatewayのバージョン2.0を提供した。これは企業のサーバから送信される暗号化されたAIMメッセージを、企業の技術システムで復号できるようにする製品だ。企業の情報技術部門はこの製品を使えば、全てのIMメッセージのログをとり、保存できるようになる。金融サービスなどの産業分野では、インスタントメッセージ(IM)会話の全内容の監視や保存が義務づけられている。AOL Enterprise Gateway 2.0では、従来バージョンと同様、米FaceTime Communicationsの技術が採用されている。
今回の発表では、同社の人気AIMクライアントを企業向けに販売しようという狙いが強調されている。AIMは消費者の間で最も人気の高いIMサービスで、何百万人ものユーザーが同社のクライアントソフトを使い、リアルタイムでテキストメッセージを交換している。しかしながらAOLや、ライバルの米Microsoft、米YahooなどのプロバイダはIMへの課金を行なっておらず、IMは無料サービスにとどまっている。
AOL、Microsoft、Yahooの3大大手は皆、企業ユーザーから売上を得ようと企業向けIM製品を発売。IMをコミュニケーションの選択肢として採用する企業はますます増えている。しかし多くの企業の技術部門では、セキュリティの問題や、責任の所在が明らかにできないことを理由にIMプログラムを禁止している。
金融や医療など規制のある産業では、無制限のIM利用を禁止するようになってきている。全米証券業協会(National Association of Securities Dealers:NASD)は6月に、IMメッセージは電子メールと同様、3年間保存しておくようにとの通達を出している。
Microsoftの他の部門や米IBM、米Sun Microsystemsなど、企業向けソフトウェアメーカーも、既存の顧客に向けでIM製品を販売しようとしている。Microsoftは今夏、Office Real Time Communications Server 2003を発売する予定だ。これは、当初は企業向けIM製品だが、ゆくゆくは、インターネット電話やテレビ会議などの機能を統合するサービスとなる可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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