インスタントメッセージ(IM)でやりとりされた情報も、電子メールと同じように扱い、3年間は記録を保管しておくようにとの通達が、Nasdaqの監督機関から会員企業各社に出された。
全米証券業協会(National Association of Securities Dealers:NASD)では大企業、特に金融機関におけるIMの普及を受けて、今回の発表を行った。
IMは当初、若者向けのチャット用ツールとして利用が始まったが、企業で働く社員にとっても、メッセージが即座に送受信され、リアルタイムでテキストを使った会話が可能になるという、電子メールにはない利点がある。
IMを使うと、実際に連絡を取らなくても、相手のステータスがわかるため、共同作業や遠隔地との作業が一段と容易になり、またメッセージを保存しないのでサーバのディスクがあふれることもないため、多くのユーザーが重宝している。ところが、このアーカイブ機能がない点が、NASDの心配の元になっている。
NASDの規制監督部長、Mary L. Schapiroは「NASDは、リアルタイムのコミュニケーション手段としてインスタントメッセージの人気がますます高まっていることは認識しており、またこの利用に我々が期待していることを明確にしておきたい」と声明の中で述べている。
「インスタントメッセージは形式ばったコミュニケーションの手段ではないが、それでも電子メールの扱いと同じ基準が適用されることを忘れてはならない。会員各社は、自社の基本的な監督/記録義務に合ったインスタントメッセージの使い方がなされるよう確実を期さなくてはならない」(Schapiro)
特にYahoo、Microsoft、そしてSun Microsystemsなどが企業向けに特化したIM製品を投入してから、法人市場におけるIMの利用はますます一般化している。しかし、多くの企業では無償IM製品の利用が野放しになっている。
Yahoo MessengerやMSN Messengerといったコンシューマーをターゲットにした無償IM製品には、通常は何らかのアーカイブ機能が搭載されているが、すべてのコミュニケーションを監視し、保存するほど高機能なものではない。
NASDは会員企業に対し、IMでのコミュニケーションを書簡や電子メールと同様に扱うよう助言を行っている。もしそのような対応が不可能な場合、同監督機関では社員と顧客との、IMを使ったコミュニケーションを完全に禁止するよう忠告している。
NASDが、社内での無償IMソフトの利用を禁止するよう会員各社に求める見解を示したことで、法人向けIM製品の売上拡大が一気に進むものと見込まれる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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