米Oracleの最高経営責任者(CEO)のLarry Ellisonが、米PeopleSoftの敵対的買収について、買収額をさらに引き上げる可能性を匂わせている。
Ellisonは、ロンドンで開催されたAppsWorld会議の基調講演で、「(買収が成功した際には)PeopleSoftの顧客をサポートし、同顧客が“中立的な価格”でOracleの業務アプリケーション製品に切り換えられるようにする」と改めて語っている。
「OracleがPeopleSoftに提示している買収額63億ドルは、PeopleSoftを正当に評価したもので、きわめて公平な価格だ」(Ellison)。PeopleSoft取締役会は買収額に関し、一貫して「Oracleの提示額は低すぎる」と述べている。
「Oracleが買収額をさらに引き上げる可能性は?」という質問に対してEllisonは、「100%ありえない、とは断言できない」(Ellison)と回答し、買収額引き上げの可能性をほのめかした。
OracleがPeopleSoft買収を目論むのは、アプリケーション事業の弱点を克服するためとの見方が強い。アナリストや関係者筋は、「Oracleは、中核となるデータベースソフトウェア事業の低迷を、アプリケーション事業で埋め合わせる必要がある」と話している。
これに対しEllisonは、講演後の質疑応答において、「PeopleSoftの買収は、業界アナリストやメディアで取り沙汰されているような理由ではない」と反論した。「我々はデータベース事業とアプリケーション事業は非常に密接していると考えているが、この密接した関係があまり認識されていない」(Ellison)
OracleがPeopleSoftに対して敵対的買収を仕掛けたのは6月6日。PeopleSoftと米J.D. Edwardsが合併計画を発表してからわずか数日後のことだった。現在、Oracleは業務アプリケーション分野において、首位のSAPに続くシェアをキープしているが、PeopleSoftとJ.D. Edwardsが合併した場合、2位の座から転落することになる。
Oracleは当初、PeopleSoftに対して51億ドル(1株あたり16ドル)の買収額を提示したが、先週にはこれを63億ドル(1株あたり19ドル50セント)に引き上げた。しかしPeopleSoftの取締役会は、いずれの条件も拒否している。
最新調査によると、ローエンド向けデータベース市場では、Oracleのシェアに米IBMが食い込んでいる上、米Microsoftやオープンソース勢も普及しつつあるため、Oracleはかなり苦しい戦いを強いられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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