米Appleは、新Mac OS X「Panther」で、またもやMacの既存ユーザーから、アップグレード料を集めようとしている。
オリジナルのMac OS X(コードネームCheetah)、10.1(Puma)、および10.2(Jaguar)の時と同じように、Appleでは今回も新OSを求める既存ユーザーに、有償でアップグレードを行う計画を立てている。米国時間23日に同社CEOのSteve Jobsが発表したこの新OSは、年内に129ドルで販売される予定である。
この投資の見返りとして、Macユーザーは100以上の新機能を手に入れることができるとAppleでは説明しており、そのなかには新しいルックスに変わったFinder、Exposeという名の、混み合ったデスクトップ上から特定の開いたファイルを見つけ出しやすくする機能などが含まれる。さらに、Pantherの新機能のなかには、ローカルマシン内の特定のフォルダーと.Macサーバー上のiDiskとを同期させ、ファイルを自動的にバックアップするものもある。
新しいOSは、目に見えない部分でも改善が図られており、Mac OS Xの根幹をなすUNIX部分が補強され、またWindowsが大勢を占める企業内ネットワークのなかでMacがよりよくフィットするようになっている。
Pantherにはまた、iChat AVアプリケーションも盛り込まれる。これはAppleのインスタントメッセージプログラムのアップグレード版で、他のiChat AVユーザーとの間で、音声およびビデオでの会話が可能になるというもの。このプログラムは、Pantherに同梱されて出荷となるほか、既存のJaguarユーザーに対しても30ドルで販売される予定で、また今年末まではベータ版が無償で提供される。
「これは、我々その他大勢にとってのビデオ会議システムだ」("It's video conferencing for the rest of us.")と、Worldwide Developer Conferenceの基調講演の壇上で、このプログラムのデモを行ったSteve Jobsは語った。Jobsは何人もの相手とチャットをしてみせたが、そのなかには現在Appleの取締役を勤めるAl Gore前副大統領も混じっていた。
現在客員教授として教鞭をとるUCLAのキャンパスから、テレカンファレンスを使って参加したGoreは、「まじめな話、これはとても素晴らしい」と述べた。
Pantherのその他の改善点には、次のようなものがある。カラーラベルによるファイルの種別、IPSec標準に基づいた新しいVPN(Virtual Private Network)用ソフトウェア、タイプフェイスを管理するFont Bookという新しいユーティリティ、PDFファイルの検索・閲覧用のこれまでより素早く動作するプログラムなど。さらにAppleはメールソフトをアップグレードし、電子メールをスレッドごとに読めるようにするなど、新たな機能を加えている。
Appleが、一番最後に有償のOSアップグレードしたのは、2002年8月に発売したJaguarの時だった。対照的に、Microsoftでは、メジャーアップグレードを、それほど頻繁には行っていない。同社が最後に有償のOSアップグレードをしたのは、2001年10月のWindows MEからWindows XPへの移行の時で、2000年9月にデビューしたMEは、先代のWindows 98リリースから、約2年を経て登場したものだった。
Appleでは、ほぼ1年毎にOSの有償アップグレードを行ってきているが、それでも同社は新しいバージョンを出す度に、しっかりと価値を提供し続けていると、Jupiter Researchの業界アナリストMichael Gartenbergは言う。
なお、JobsはPantherの出荷に関して具体的な期日を示さなかったが、最近リリースのスケジュールが2004年から2005年へ延期されたMicrosoftの次期Windows OS Longhornが市場に出るより、ずっと前だと指摘した。
Appleではまた、同日Pantherのサーバー版を、今年年末までにリリースし、10クライアント版を499ドル、無制限のクライアントライセンスを999ドルで販売する予定だと説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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