米Apple Computerでは、Power Macシリーズの性能を向上させ、大きな改善を求められていた同社ハイエンドのデスクトップ製品を一新する態勢が整ったようだ。
Appleでは、IBM製の高速なPowerPC 970 を新たに採用した新製品ライン発表の準備を進めている。この新製品導入で、Wintel陣営のマシンとの間にある「ギガヘルツ・ギャップ」が解消するというわけではないが、少なくともその差は縮まると、業界アナリストは話している。また、IBMのPowerPC 970チップの採用により、Appleのマシンでも64-bit用ソフトウェアが動作する可能性が開けてくる。64-bit用ソフトを動かせるマシンの設計は、いまのところトップクラスのワークステーションでしか見られないものだ。
Appleでは、こうした新製品についての計画を、来る月曜日23日(米国時間)に発表すると見られている。サンフランシスコで始まるAppleの開発者向けカンファレンス、Worldwide Developer Conferenceで基調講演を行うCEO、Steve Jobsの口から、この計画の詳細が明かされるだろう。同社は、この毎年5月に開催していたこのカンファレンスの期日を、今年は1カ月遅らせて6月としたが、この変更理由については、Mac OS Xの次期バージョンであるPantherのプレビューをこの場を使って行うため、とだけ説明していた。
19日深夜には、複数のMacウォッチャーが、Apple Storeで一時的に、G5チップを採用した新Power Macシリーズの仕様が掲示されたと伝えた。この新しいデスクトップ機は、 機種により1.6Ghzからデュアル2Ghzのチップを搭載。また、最大8GBのメモリー、1GHzのプロセッサ・バス、シリアルATA接続のHDDをはじめとする、さまざまな性能面の改善点が盛り込まれるという。
これまで長い間、Appleはメガヘルツレース(CPUの高速化競争)でずっと後塵を拝し続けてきた。MacにはMotorola製G4プロセッサが使われているが、G4の性能改善のペースは遅々としたもので、その間にもIntelとAdvanced Micro Devices (AMD)はもっとずっと速いペースで、次々にクロック数を高めたCPUを開発していった。システム全体としての性能という面からいうと、決してCPUのクロック数が全てというわけではないものの、一般的にいえばクロック数が上がると、チップそしてコンピュータ全体の性能も向上する。
Appleはまた、AMDの開発したチップ間接続技術であるHyperTransporを、新しいPower Macに採り入れることについても話をすると見られている。
どれくらい強力になるの?
IBM製PowerPCの採用で、Power Macの性能がどれほど向上するかについては、いまのところ明らかではない。
Apple Storeで一時的に掲示された仕様によれば、新Power Macの最高位機種に2GHzのCPUが搭載されるとなっていた。これに対して、Intelはまもなく3.2GHzのチップ出荷の準備が整い、その後には大幅に設計を変更したPrescottと呼ばれるプロセッサを登場させる予定で、これによりさらにチップの高速化が見込まれている。
いっぽうで、PowerPC 970の今後については、2004年半ばまでに2.5GHz、そして2005年までには4.0GHzから5.0GHzに達するだろうと、ある業界アナリストは語っている。
また、IBM製CPUの採用は一時的なもので、Appleの将来を握る鍵は、Mac OSXをインテル系チップに移植することだという意見もあり、実際そうした方向へ進むようAppleに求めているアナリストもいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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