米ピープルソフト、米オラクルの買収提案を正式拒否

 米PeopleSoftは米国時間6月12日、米Oracleが仕掛けている51億ドルの敵対的買収を正式に拒否した。その理由は、今回の敵対的買収で独占禁止法に関する問題が生じること、そしてOracleがPeopleSoftの価値を「著しく過小評価した」(PeopleSoft)ことにあるという。

 OracleがPeopleSoftに対する敵対的買収を仕組んだのは、PeopleSoftが米J.D. Edwardsを17億ドルで買収すると発表したわずか数日後で、多くの人々を驚かせた。人々が驚いたのは、買収に際してOracleが提示した価格が、現在のPeopleSoftの株価をわずかに割り増ししただけだったこと、さらにOracleの最高経営責任者(CEO)、Larry Ellisonがこの買収にあたって、PeopleSoftの取締役会と事前に接触した形跡がなかったからだ。

 PeopleSoftとOracleはいずれも、企業で人事などの事務部門が使用するソフトウェアを開発しており、ドイツの業界トップメーカーSAPと競合している。Oracleが買収にあたって、「買収後にはPeopleSoftの製品販売を停止する」と明言したことから、アナリストらは「(買収は)ライバルを消すための企て」と考えるようになった。

 PeopleSoftのCEO、Craig Conwayは「今回の敵対的買収はOracleにとって裏目にでる可能性がある。Oracleの買収計画が顧客に不安を与え、(顧客の)Oracleへの支持がゆるぐからだ」と語っている。

 PeopleSoftの取締役会は「株主にOracleの敵対的買収を拒否するよう推奨する」ことを満場一致で決定した。さらにJ.D. Edwardsとの合併に引き続き取り組んでいくことを再確認した。その結果、PeopleSoftは6月11日、米連邦取引委員会(FTC)と米司法省に対して、J.D. Edwardsとの合併計画に関する書類を提出した。

 今回、PeopleSoftの取締役会がOracleの買収提案を断った理由は、自社の評価が低かったことと、Oracleの「略奪的な意図」を懸念したためだけではない。「Oracleの買収が、独占禁止法の監督機関による調査を切り抜けられる可能性が低いと考えたからだ」(PeopleSoftの最高財務責任者、Kevin Parker)

 「PeopleSoftが業界から退いた場合、ERP業界はSAPとOracleの2社のみになってしまう。これをFTCがどう見るかを、我々の顧問と慎重に検討した結果、買収拒否という結論に至った」(Parker)

 Oracleの広報担当者、Jim Finnは「PeopleSoftの取締役会が、同社株主の利益よりも、自分たちの利益を優先したことは遺憾だ」と述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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