SCO、IBM提訴が裏目に

 SCO Groupが苦境に立たされている。現在、同社はIBMがUNIXのライセンス契約を違反したとして、IBMに10億ドルの損害賠償を求めているが、「裁判費用がかさみ、他社との関係も危うくなっている」(SCO)という。

 SCOがIBMを提訴したのは3月初旬。SCOは、(1)SCOが所有するUNIXの知的財産権をIBMがLinuxに不正使用しており、これは両社が結んだUNIXライセンス契約に違反する、(2)IBMによる、SCO事業に対する不当競争、契約の不履行、間接的な妨害があった、と主張している。この裁判でSCOは、評判の高い弁護士David Boiesを雇っている。さらに同社はIBMに対し、「IBMのUNIXであるAIXのライセンス契約を無効にする」と迫っている。

 しかし、同時にSCOは「IBM提訴による予期せぬ事態が、我々の事業に悪影響を与える可能性がある」と危惧する。SCOは投資家に対するリスク開示情報において、裁判の波紋が広がっていることを懸念しているのだ。

 事実、同社株主のうち2社がすでにSCO株を売却している。米Vista.comの経営最高責任者(CEO)John R. Wallと、投資銀行の米Morgan Keegan & Co.である。Wallは全SCO株の6.6%を、Morgan Keegan & Co.は同1.6%を所有していた。つまり、SCOの発行済み株式1220万株のうち100万株が売却されたのである。

 SCOは、「裁判にかかる費用もおそらく、著しく増加する」と説明する。IBMや同社提携企業とのジョイントベンチャーから得られる利益が減少する可能性もある。さらに、「IBMが顧客に対して、SCO製品を避けるよう促すかもしれない」(SCO)。

 「UNIX市場の企業が、我々のIBM提訴を否定的に捉えるリスクがある。もしそうなった場合、当社はそうした企業からの支持を失う可能性がある」(SCO)

 今回の裁判は業界アナリストやオープンソースコミュニティの一部で非難の的となっている。また、SCOの提携先であるドイツSuSEや、他のLinuxディストリビューターは、SCOとの関係の見直しを検討しているという。

 なお、IBMは先週、この提訴に関連して初めての行動を起こした。同裁判をユタ州立裁判所から同州にある連邦裁判所に移管したのだ。IBMはニューヨーク州、SCOはデラウェア州の会社組織であるため、この手続きは妥当と言えるだろう。

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