米SCO Groupは米IBMがUNIXのライセンス契約に違反したとして、米国時間3月6日に提訴した。これに対し、IBMは「SCOが確証事実なしに主張している」と述べ、SCOの要求に容易に応じない構えをみせた。
SCOの主張は、IBMがLinux事業を推進するためにUNIXソフトウェアのライセンスを不正使用し、不当な競争を生み出したというもの。またSCOは、IBMがオープンソースコミュニティーにUNIXソフトウェアの機密情報を漏洩し、「UNIXのすべての価値を意図的に破壊しようとした」として10億ドル以上の損害賠償を求めている。
しかし、SCOがIBMに勝訴するのは難しいとアナリストらは予測する。著作権や企業秘密の漏洩を法廷で争う場合、著作権保護された、オリジナルのデータへのアクセスを示す必要があるためだ。
SCOは、もともと米AT&Tが開発したUNIXの知的財産権を買い取った。多くの点でUNIXと同様の動作をするLinuxは、IBMのほかIntel、NEC、Hewlett-Packard、Oracleなどの企業の援助でオープンソースプログラマのグループが開発したもの。米Red Hat、ドイツのSuSE、SCOらは自社バージョンのLinuxを販売している。なおSCOのLinuxの基盤はSuSEの製品だ。
また、訴訟がSCOの他事業にプラスに働くことはないだろう。販売パートナーのネットワークと築いてきた関係を損なう可能性がある。
たとえば、米SuSEのCEO、Richard Seibtは、SCOとの関係を見直していることを明らかにしている。「SCOの提訴には大変失望した。Linuxがこの訴訟の影響を受けるとは考えていない。しかし、訴訟が顧客や提携企業、Linuxコミュニティーに最善の利益をもたらすものではないことが気がかりだ」(Richard Seibt)
SCOは6日に訴状提出とともにIBMに書簡を送付し、IBMが反競争的行為を停止しない場合、6月13日にIBMのUNIX系OSであるAIXの出荷のためのライセンスを無効にすると通告している。
SCOは、同社が所有するUNIXの知的所有権から、より積極的にライセンス料を徴収するというSCOsource戦略を1月に発表した。以来、急速にこの戦略を推進している。
なお、SCOの株価は7日に急騰した。オープンソース支持者のBruce Perensは、SCOのIBM提訴について、「SCOが自社の価値をつり上げるための策略」とみている。「この訴訟は法廷でどう進展するものでもないと強く感じる。SCOの身売りの準備に過ぎないだろう」(Bruce Perens)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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