米Hewllet Packard(HP)は、昨年5月の合併で手に入れたCompaq Computerと旧HPのブランドをうまく使い分けていく方針だ。
HPブランドではハイエンド製品分野を、Compaqブランドではマルチメディアに照準を合わせた、低価格で値ごろ感のある製品分野をターゲットに据えている。
また、HPブランドでは、MicrosoftのWindows XP Media Centerを採用する方針だ。テレビ番組のデジタルコンテンツなどをテレビ画面で閲覧できるOSは人気だが、搭載製品はまだ高価なため、消費者向けパソコンの売上のごく一部の割合を占めるに過ぎない状態となっている。HPは、来年の今ごろまでにはこの割合が10〜20%に増えると予測している。米NPDTechworldアナリストのStephen Bakerは、Media Center搭載機の部品価格が下がることで製品価格も下がり、売上が増大するだろうと述べている。さらにBakerは、このような製品はOSの特別版だけでなく、大容量ハードドライブや強力なスタンドアロンのグラフィックカード、書き込み可能なDVDなども必要だと指摘する。
HPは今後数カ月のうち、これまでより低価格のデスクトップ機や初のMedia Center搭載ノートブックといった新製品を発表する予定だ。また、書き込み可能なDVDドライブを製品ライン全体にわたって搭載するという戦略も立てている。
両ブランドの差異化という点については、これまであまり目立つものがなかった。しかし「今春からは明確に表れるようになる」(HP)という。ただし、HPが特にブランドの差異化を図らずとも、小売店は従来どおりHPとCompaqの両ブランドを分けて販売しているようである。「一部の小売店では1つのブランドに絞って販売されるのではないかと考えられたが、今までのところその傾向は見受けられない」(Baker)。
HPは2003会計年度第1四半期(2002年11月〜2003年1月期)、パソコンとハイエンド向けコンピュータ事業の両分野で収益を得るという目標を達成した。しかし、短期的に見て、この黒字を維持するのは困難のようだ。現に当期(2003年2月〜4月期)は、売上の伸びが年間で最も鈍化している。また、第1四半期の売上高は51億ドルで、前年同期の63億ドルに比べて大幅に減少している。
この第1四半期におけるパソコン部門の利益については、懐疑的に見るアナリストもいる。HPはさまざまな事業部門の研究開発費を、別の事業部門に移して計上している。米Bear Stearnsのアナリスト、Andrew Neffは、「HPは個人向けシステム事業から4000万ドルを移しており、発表されている第1四半期のパソコン部門の事業利益3300万ドルは、実際は赤字になった可能性がある」と指摘する。
HPはこれに対し、会計操作を行なわずともパソコン部門は黒字になったと反論しているが、具体的な数字は挙げていない。なお、HPは第2四半期におけるパソコン部門の収益予測について明らかにしていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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